こちらのページでは、「かっこいい」「明るい」などのイメージに合わせて、そのような雰囲気を持つコード進行をいくつかご紹介していきます。
私はこれまで仕事で数千曲のコード進行と向き合ってきていますが、そこから厳選したこれらが、「イメージに合わせたコード進行作り」のお役に立てるはずです。
※さまざまな雰囲気を体感するため、いろいろなキーのコード進行をご紹介しています。
目次
イメージ[1]かっこいい・ロック
「♭VII」の活用
「G → F → C → G」
「かっこいい」という雰囲気のコード進行を考えるうえで、真っ先に活用できるのが「♭VII」のコードです。
こちらでの「F」がそれにあたり、本来「キー=Gメジャー」に存在していないこのコードがそんなムードを高める働きをしています。
「♭III」の活用
「E → G → D → E」
上記「♭VII」とあわせて「かっこいい」を実現するために活用できるのが「♭III」で、こちらのコード進行における「G」がそれに相当するものです。
このコード進行は「D=♭VII」と「G=♭III」というように、二つの♭系コードを含んでいます。
マイナーコードによる構成
「Gm → A♭7 → Gm → A♭7」
かっこいい雰囲気を考えるうえでもちろんマイナー系のコード進行も欠かせません。
これには本当にさまざまなアプローチが考えられますが、こちらでは特に怪しげでソリッドなサウンドを持つ二つのコードによって組み立てています。

イメージ[2]明るい・清潔・綺麗
1度のコード、および「II7」の活用
「F → G7 → B♭ → C7」
コード進行の持つ明るさは、そのキーにおける「1度(I)」の音によってもたらされることが多いです。
この例における「F」は文字通り「キー=Fメジャー」における1度のコードで、そこに続く「G7(II7)」がさらに能天気なムードを高めています。
「sus4」を使った安定感のある構成
「G → Gsus4 → G → Gsus4」
「明るい=安定」と捉え、前述した1度のコードをアレンジしながら引き延ばすように組み立てると明るい雰囲気を維持できます。
ここでは「sus4」を活用して、ツーコードの構成として「G」というコードの持つ安定したサウンドを前面に押し出しています。
オンコードによる1度ルート音の保持
「C → FonC → GonC → C」
1度のコードの持つ安定感は分数コード(オンコード)によっても表現でき、ここでは「C→F→G」というスリーコードの構成全てに「C」のルートを加えています。
これによって、コード進行にどっしりとした明るさが生まれます。

イメージ[3]暗い・悲しい
マイナーダイアトニックコードの基本進行
「Am → G → F → E7」
一般的に暗いイメージを持つサウンドはマイナーコードによってもたらされ、なかでもこちらで例として挙げたようなルート音を順番に下げていく構成はその象徴ともいえるものです。
構成の最後にある「E7」が、より強く「Am」のコードを連想させます。
マイナーコードのクリシェ
「Dm → DmM7 → Dm7 → Dm6」
このコード進行は「クリシェ」と呼ばれる手法によるもので、コードの展開によって「Dm」にある「レ」の音が、「レ→レ♭→ド→シ」と順番に下がっていきます。
マイナーコードの安定感を保ちつつ、どっしりと暗い雰囲気が味わえます。
メジャーキーにおけるマイナーコードを際立てる進行
「E → G#m7-5 → C#7 → F#m」
ここでテーマとしている「暗い」というムードは、メジャーキーでも表現できます。
この例は、フラットファイブ系のコード「G#m7-5」を活用し、メジャーキーにおけるマイナーコードの「F#m」を際立てるような流れを作ったものです。

イメージ[4]穏やか・落ち着く・安らぎ
浮遊感を演出するツーコード構成
「G → C → G → C」
穏やかな雰囲気を実現するのは「キーの範囲に収まるコードの流れ」で、こちらで例として挙げた構成ではそれを二つのコードによって表現しています。
これらはダイアトニックコードにおける一番目と四番目のコードにあたりますが、このようなつながりは独特な浮遊感を生みます。
カノン進行風の流れ
「A → E → F#m → C#m」
いわゆる「カノン進行」に近い構成がこちらの例にあるコード進行で、このように予定調和なコードの流れも「穏やか」「落ち着く」という印象を与えます。
静かなサウンドによってゆったりと聴かせることで、そのようなムードをより高めることができるはずです。
分数コードによる安定感の演出
「E → DonE → E → DonE」
上記の「イメージ[2]明るい」でもご紹介した分数コードを活用した構成は、同じような観点から穏やかな雰囲気を演出するのにも役立ちます。
こちらではツーコードの構成を通じて「E」のルート音を保持させ、どっしりとしたサウンドを実現させています。

イメージ[5]切ない・ノスタルジック
トニック(I)のクリシェ
「A → AM7 → A7」
上記でもご紹介した「クリシェ」の構成は、切ない雰囲気を演出するのに重宝します。
こちらでは、コード「A」の持つ「ラ」の音が「ラ→ラ♭→ソ」と変化していきますが、このような半音の進行が独特な切なさを生みます。
1度のコードから順番につなぐコード進行
「C → Dm → Em → F」
半音進行の他に「順次進行」によっても切ない雰囲気を感じることもできるもので、ここで挙げた「ダイアトニックコードを1度のコードから順番につなげていく構成」はその一例です。
ルート音が高い音に向かって着実に上がっていくため、そこから「時の流れ」のようなものが感じられ、ノスタルジックなムードが連想されます。
サブドミナントマイナーの活用
「D → Gm → F#m → Bm」
ここにある「Gm」は、ダイアトニックコード四番目の「G」をマイナーコードにした、キーの範囲外にあるコードです。
このようなコードを「サブドミナントマイナー」と呼び、切ないイメージを抱かせるためによく活用されます。

イメージ[6]オシャレ・大人びた雰囲気
セブンスコードとテンションコードの活用
「AM7(9) → B7(9) → Bm7(9) → E7(13)」
都会的なサウンドを目指すうえで欠かせないのが「セブンスコード」「テンションコード」のアプローチです。
こちらのコード進行はボサノバの定番ともいえるもので、華やかなコードのサウンドがオシャレなムードを生んでいます。
サブドミナントコードから始まるコード進行(1)
「Em7(9) → A7(13) → DM7(9) → B7(♭13)」
ここでの「Em7(9)」は、「キー=Dメジャー」における二番目のコードで、このように「一番目のコード『D』から始めない」という点によっても都会的な雰囲気を演出することができます。
セブンスコードやテンションコードを多用している点は、上記の例と同じです。
サブドミナントコードから始まるコード進行(2)
「B♭M7 → Am7 → Dm7 → Cm7 → F7」
こちらにある「B♭M7」を冒頭に置いた構成も、前述した「一番目から始めない」と同じ着想によるものです。
このように動的なコードは、大人びた雰囲気を表現するのにうってつけです。

イメージ[7]感動的
トニックに着地しそうでしない流れ
「F#m7 → B7 → G#m7 → C#m7」
このコード進行例は、ここで取り上げた「感動的」というイメージを、バラード曲に似合うような「壮大なサウンド」として解釈したものです。
「キー=Eメジャー」における「E」のコードをあえて取り除き、そこに向かうようでいてなかなかたどり着けない、というもどかしさが感動的な雰囲気を生みます。
サブドミナントマイナーコードから直接着地する進行
「A → Bm → Dm → A」
この例における「Dm」は前述した「サブドミナントマイナー」に相当するもので、そこから直接的に「A」へとつなげています。
このような構成からは、「切ない」と共に感動的なムードも感じることができます。
5度のクリシェ
「C → Caug → C6 → C7」
こちらは既にご紹介した「クリシェ」の別バージョンで、ここでは「C」にある「ソ」の音が「ソ→ソ#→ラ→ラ#」と徐々に上がっていくような構成となっています。
半音の進行は感動的な雰囲気を生みますが、こちらはそれが上昇することでより前向きなサウンドに感じられます。

まとめ
冒頭でも述べた通り、イメージに沿ってコード進行を聴かせるうえでは、コードのつながりとあわせて曲調やサウンドに配慮することも欠かせません。
上記で挙げたコード進行をもとに、そこから自分の目指す曲の雰囲気をアレンジと共に追求してみて下さい。
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