「落ち着くコード進行」を考える|静かな雰囲気・安定感のある響きなどを持ったコードの流れ

作曲の先生、そしてコード進行マニアの内山です。

こちらのページでは、いろいろな曲調で活用できる「落ち着いた雰囲気を持つコード進行」をご紹介します。

落ち着くコード進行「ダイアトニックコードのみ」

※ここでは、例としてキーを「Cメジャー」に固定します。

Cダイアトニックコード
C,Dm,Em,F,G,Am,Bm-5
(I,IIm,IIIm,IV,V,VIm,VIIm-5)

1. トニックの連結

  • 「C→Am→C→Am」

まず「落ち着く」という雰囲気を考えるうえで真っ先にご紹介できるのが、キーの主和音である「C(I)」と、その代理コード「Am(VIm)」をつなげたコード進行です。

主和音「I」は「安定」の機能を持ち、そのキーを代表するコードとして最も落ち着いた響きを持っているものとされます

また「VIm」はそれに似た響きを持っており、同じく「安定」の機能を持ちます。

check
これらの機能(響きの役割)は、ポピュラー音楽において「トニック」と呼ばれます。

こちらではそれをつなげ、

安定→安定→安定→安定

という響きを作り出すことによって、このページのテーマである「落ち着く雰囲気」を生み出しています。

2. トニックの連結(アレンジ)

  • 「C→Em→Am→Em」

前述した「Am(VIm)」以外に「Em(IIIm)」も主和音に似た響きを持っており、それらも同じ観点から活用することができます。

ここでは、既にご紹介した「C→Am…」というコードの流れに「Em」に差し込んだような形としています。

同じように安定感が保たれながらも、わずかな響きの変化が生まれています。

3. トニックとサブドミナントの連結

  • 「C→F→C→F」
  • 「C→Dm→C→Dm」

ここで活用している「F(IV)」および「Dm(IIm)」は、前述した「安定」とはまた違った響きを持つものです。

独特な静けさが感じられるコードであることから、「落ち着く」という要素を考えるうえで同じように活用することができます。

check
これら二つのコードは、ポピュラー音楽において「サブドミナント」と呼ばれる機能を持ちます。

4. トニックとサブドミナントの混合

  • 「C→Dm→Em→F」
  • 「C→F→Em→Am」

ここまでにご紹介したコードを複合させたものが、これらの進行です。

「トニック」と「サブドミナント」の機能を持つコードが混ざることで多彩な響きが生まれていますが、コード進行全体としては落ち着いた雰囲気を持っています。

このように、コードの機能を前提とすることで、それらを組み合わせていくつかのパターンを作り出すことができます。

※関連ページ ダイアトニックコードとスリーコード(成り立ちとコードの役割などについて)

5. 四和音(セブンスコード)による表現

  • 「CM7→Am7→CM7→Am7」
  • 「CM7→Em7→Am7→Em7」
  • 「CM7→FM7→CM7→FM7」
  • 「CM7→Dm7→CM7→Dm7」
  • 「CM7→Dm7→Em7→FM7」
  • 「CM7→FM7→Em7→Am7」

ダイアトニックコードは、既にご紹介している三和音以外にも四和音(セブンスコード)として表現することができます。

※関連ページ セブンスコード(四和音コード)の成り立ちや意味などについて

ここで挙げたコード進行は、ここまでにご紹介したいくつかのコード進行を四和音によって解釈し直したものです。

セブンスコードによりコード単体の構成音が増えることから、落ち着いた雰囲気が維持されつつも、多彩な響きが生まれていることがわかります。

このような解釈から、「落ち着く」という雰囲気を豊かなサウンドによって表現することも可能です。

6. サブドミナントから始めてトニックに落ち着ける

  • 「F→C→F→C」
  • 「Dm→C→Dm→C」
  • 「F→Em→Am」

ここまではコード進行のすべてを主和音「C(I)」から始めていましたが、ここでは少しひねりのある構成として、あえてサブドミナントをコード進行の冒頭に置いています

通常の作曲においてもこのような構成は十分に考えられ、トニックから始まる進行に比べてまた違った印象を与えることができます

安定感を求めることを前提として、こちらでは基本的に

「サブドミナント→トニック」

という流れを作り、響きの流れが「安定」の機能を持つコードに向かうよう作り込まれているところもポイントです。

また、もちろんこれらも四和音として以下のように表現することができます。

  • 「FM7→CM7→FM7→CM7」
  • 「Dm7→CM7→Dm7→CM7」
  • 「FM7→Em7→Am7」

「セブンスコードによる多彩な響き」と「サブドミナントから始まる構成」によって、「落ち着く」という印象を保ちながらも個性的なコード進行に仕上げることができています。

落ち着くコード進行「ダイアトニックコード以外を含む」

1. サブドミナントマイナーコードの活用

  • 「C→F→Fm→C」
  • 「C→Dm→Dm-5→C」

ダイアトニックコード以外のコードを使っても落ち着く雰囲気を演出することは可能で、こちらはその一つの例である「Fm(IVm)」「Dm-5(IIm-5)」を活用したコード進行です。

このうち「Fm(IVm)」は、前述した通り「サブドミナント」の機能を持つ「F」をマイナーにしていることから「サブドミナントマイナーコード」などと呼ばれます。

check
また「Dm-5(IIm-5)」は、それに似た響きを持つ「サブドミナントマイナーコードの代理コード」に相当するものです。

※関連ページ サブドミナントマイナーの概要と使い方(その代理コードや終止への活用もあわせて解説します)

この「サブドミナントマイナーコード」はダイアトニックコード以外のコードでありながらも落ち着いた響きを持っていることから、同じように通常のコード進行に組み込んで活用することができます

また、前述した通りこれらも以下のように四和音によって表現することが可能です。

  • 「CM7→FM7→Fm7→CM7」
  • 「CM7→Dm7→Dm7-5→CM7」

響きが多彩になるため、より柔らかい雰囲気が生まれます。

2. クリシェの活用

  • 「C→CM7→C7→C6」

次に、こちらは「クリシェ」と呼ばれる手法によって作られたコード進行の例です。

※関連ページ クリシェ(1)概要・特徴的なコード進行を作るための典型的な使用例

「クリシェ」とは、コード構成音のうち一部のみを上げ下げしながら、響きに変化をつけつつコードをつなげる手法を指すものです。

この例では、最も落ち着いた響きを持つ主和音「C(I)」の基本的な性格はある程度維持されながらも、サウンドが微妙に変化していくところに面白さがあります。

check
ここでは「C」の構成音のうち「ド」の音が、コードが展開していくことによって「ド→シ→シ♭→ラ」と変化していきます。

この構成のうち、「C7」は本来やや波立つ響きを持っているコードであるため、より落ち着いた印象を強めるためにはそれを排除して、

  • 「C→CM7→C6→CM7…」

のようにコードを組み立てることも考えられます。

3. 分数コード(オンコード)の活用

  • 「C→FonC→GonC→FonC」

最後にご紹介するのが「分数コード(オンコード)」を活用した構成で、このうち「GonC」のみがダイアトニックコードに無いものとして解釈できます。

※関連ページ 分数コード(オンコード、スラッシュコード)の使い方や成り立ちなどについて

主和音の安定感は基本的にルート音(ベース音)によってもたらされますが、この例ではそれを保持することによって「onC」(※ベース音のみを「C=ド」にする、という意味)をその後のコードに併記しています。

主和音のルート音が鳴らされ続けることによって同じような安定感が継続され、コードを展開させながらも落ち着いた雰囲気を作り出すことができます

check
このようなコード進行は、バンドなどのアンサンブルにおいてベースのアレンジによって偶発的に生み出されることもあります。

「落ち着く/落ち着かない」につながる要素

コードの機能は、既に述べたものを含め

  • 安定(トニック)
  • 少し不安定(サブドミナント)
  • 不安定(ドミナント)

の三種に分類され、このうち上ふたつは解説した通り落ち着いた雰囲気に活用できるものです。

反面で、残り一つの「ドミナント」の機能を持つコードは「落ち着かない」という印象をリスナーに与えます。

具体的には、ここでの例「キー=Cメジャー」における「G(V)」のコードがそれにあたるため、「落ち着く」ということを前提としてコードをつなげる場合には、意識的にそれを避けることが望ましいです

check
もちろん落ち着いた雰囲気はいくつかのアプローチによって実現できるため、上記でご紹介した分数コードの例のように、ドミナントコードを活用しながらそれを演出することも可能です。

この辺りは既存の曲から学ぶべきところも多く、落ち着いた印象を受ける曲をコード進行と機能の面から分析してみることもおすすめです。

※関連ページ コード進行分析(アナライズ)の方法|手順とコツ・注意点などの解説(キー判別、理論的解釈など)

まとめ

ここまで「落ち着いた雰囲気を持つコード進行」についてご紹介しました。

ご紹介したものに限らず、機能や安定感のつながりをもとに、是非いろいろなコード進行を探求してみて下さい。

静かな雰囲気を演出するには、もちろんその表現方法への配慮も必要です。

※その他のコード進行について、以下ページでもご紹介しています。
「キー=Cメジャー」で使えるコード進行15パターン|作曲や演奏に使えるコード進行の基礎編から応用編まで コード進行パターン集(1)全20パターン シンプル構成からロック・ボサノバ風まで コード進行パターン集(2)全20パターン ビートルズ風コード、ブルース風コードなど コード進行パターン集(3)全20パターン ルート音の変化、テンションや分数コードによるジャズ風アプローチなど かっこいい!コード進行 全10パターン ロック等に使えるおすすめのコード進行 王道コード進行 全10パターン 作曲や演奏に活用できる定番のコード進行一覧