コード進行パターン集(3)全20パターン ルート音の変化、テンションや分数コードによるジャズ風アプローチなど

こちらのページでは、ポップス・ロックなどで使えるおすすめのコード進行「その3」をご紹介していきます。

※前回の記事はこちら
コード進行パターン集(2)全20パターン ビートルズ風コード、ブルース風コードなど

今回は少し大人っぽい響きを実現するための、テンション系のアプローチや分数コードによる構成なども含めています。

是非作曲のアイディアとして活用してみて下さい。

※こちらでもまたあえていろいろなキーを活用しています。

おすすめコード進行

1. ドミナントモーションが無い「II7」

(キー=C)

「C → D7 → Fm6 → C」

セカンダリードミナントとしてよく活用される「II7(D7)」が組み込まれた構成です。

通常「II7」はドミナントモーションの形により「V(この場合「G」)」へつながることが多いですが、ここではあえてその流れを無くしています

それでもサウンドに違和感はなく、むしろその裏切りが心地よく響いていると感じられます。

「Fm6」は「Dm7-5」からの置き換えとして解釈できます。

2. 「Vm7」からサブドミナントマイナーへの流れ

(キー=C)

「C → Gm7 → Fm7 → G7」

サブドミナントマイナーを絡めた構成、かつここでは「Vm7(Gm7)」を活用しています。

「Vm7」はいかにもノンダイアトニックコード的で不思議な響きを持っていて、部分転調のように一部だけ調があいまいになって、すぐ元に戻ってくるような構成をとることが多いです。

最後を「Gm7」にして、ループ系のコードパターンとしても活用できそうです。

3. パッシングディミニッシュコードを活用した典型的な形

(キー=G)

「G → G#dim → Am7 → Cm」

ルート音の半音上昇が気持ちいいコード進行です。

ディミニッシュをパッシングコードとして「I」と「IIm7」の間に挿入しています。

バラード曲などではベースラインのつながりによりメロディが引き立つことがあるため、このような典型的な形をひとつ知っておくとコード構築の幅が広がるはずです。



4. ドミナントが登場しないロック的構成

(キー=D)

「D → C → G → D」

「♭VII(C)」を活用した、ロック的雰囲気を持つコード進行です。

三和音のみでまとめつつ、ドミナントの「A」を登場させないところがポイントです。

「B♭」等が組み込まれると、さらにロックらしさが増します。

5. セカンダリードミナントコードを活用した典型的な構成

(キー=G)

「G → B7 → Em → CM7」

セカンダリードミナントコード「III7(B7)」を活用した典型的なコード進行です。

「VIm(Em)」に向かうドミナントモーションの形となっています。

最後は「CM7」としてその後の展開を感じさせていますが、そのまま「Am7 → D7」として締めてもすっきりとまとまります。

6. 短七度をベース音に置き換えた分数コード

(キー=A)

「A → AonG → F#m7 → F,G」

ルート音の下降を演出したコード進行です。

中でも「AonG」はあまり見慣れないコードですが、これは「『A7』の短七度の音をベースに置き換えたコード」として解釈できます。

このように、あるメジャーコードに短七度の音をベースとして足すだけでお洒落な雰囲気のある分数コードを作り出せます。

「F#m7」はダイアトニックコードの関係から「DonF#」としてもまた違った展開が期待できそうです。




7. 「VIIm7-5」を活用した構成

(キー=C)

「C → Bm7-5 → E7 → Am7」

ダイアトニックコードの中でも扱いづらい「VIIm7-5(Bm7-5)」を組み込んだコード進行です。

「セカンダリードミナントの『E7』をツーファイブ化した構成」として解釈できますが、このワンポイントが入るだけで切ない雰囲気が生まれます

ルート半音下降を演出するために、「E7」を裏コードの「B♭7」としても面白そうです。

8. 「♭III7」の多用

(キー=G)

「G → B♭7 → C7 → B♭7」

ロックで力強い雰囲気のあるコード進行です。

通常このようなシンプルな構成にはスリーコードを使用してしまいがちですが、それを少し発展させた形として「♭III7(B♭7)」を多用しています

ここにある「C7」にナインスを足したり、そもそもトニックの「G」をセブンスにしたりと、ブルース的な味付けをしてもさまになるはずです。

9. 分数コードを活用したノンダイアトニックコードを含むルート下降

(キー=D)

「D → GonC → GonB → B♭」

ルートの下降が気持ち良い、分数コードを主体とした構成です。

特に「GonC」の音はベース音が効果的に響いています。

また「GonB」はダイアトニックコード「Em7」の変形とも解釈できそうです。

ゆったりとしたテンポで鳴らしたいコード進行です。



10. パッシングディミニッシュからツーファイブ

(キー=E)

「E → Fdim → F#m7 → B7」

トニックからルートが半音上昇する、というパッシングディミニッシュの典型的使用方法にツーファイブの構成を足しています。

ルートが半音進行でうまくつながっているため、最後の「B7」を裏コードにして「F7」としても面白そうです

※ルートの動きが「E → F → F# → F」となります。

11. 「つつみ込むように…」風のコード進行

(キー=C)

「C → DonC → FmonC → C」

「つつみ込むように…」のAメロ部分風のコード進行です。

ベースの「C」が保持されているところがお洒落です。

一般的な分数コードとしても良いですし、さらには「C」をトライアドにして鍵盤で「左手=C」「右=D」のように押さえても絶妙なテンションが生まれます。

※「アッパーストラクチャートライアド」の用法

12. 「IVm6」の活用

(キー=C)

「C → Fm6 → C」

サブドミナントマイナーを活用した構成のひとつで、ここでは「IVm6」を利用しています。

サブドミナントマイナーというと単なるマイナーコードを想定してしまいがちですが、ここでのシックス系や「IIm7-5」などもそのバリエーションとして活用できます。

サブドミナントマイナーからドミナントを経由せずにそのまま「C」に落ち着くところも、その響きを際立たせています。




13. マイナーセブンスの平行移動

(キー=Dm)

「Dm7(9) → Em7(9) → Dm7(9) → Em7(9)」

セッションなどでも使えるシンプルな構成です。

コードが二つしかない分、テンションを加えてやや響きをリッチにしています。

16ビートの曲やボサノバ調など、このマイナーセブンス系の平行移動はどんなリズムでもさまになります。

14. 「♭VIM7」の活用

(キー=E)

「CM7 → Bm7 → E」

この構成においてポイントとなっているのは「♭VIM7(CM7)」の響きです。

コード進行の着地部分にひとつ個性を出したい場合などに使えるコード進行です。

「C → D → E」などのパワフルな流れを都会的な雰囲気に置き換えたような響きを持っています。

15. ルートの上昇

(キー=A)

「AM7 → C#7 → DM7 → Dm7」

上昇していくルート音が気持ち良い、オシャレ系のコード進行です。

三つ目の「DM7」は代理コードで、「C#7」の次に来るはずの「F#m」を裏切る形となっています。

最後をドミナントコードとする構成も考えられますが、発展性を考慮してサブドミナントマイナーとしました。



16. ジャズ風の構成

(キー=G)

「GM7 → F#7(♭13) → Bm7(9)」

テンションを多用したジャズ的な雰囲気を持つ構成です。

中でも「♭13」はマイナーを連想させるテンションのため、ドミナントモーションとあわせてマイナーコード前に配置すると綺麗に響きます

ループとしても活用できます。

17. サブドミナントからセカンダリードミナントへのつなぎ

(キー=E)

「A → G#7 → C#m7」

サブドミナントコードからの展開として、ループとしても活用できるコード進行です。

ダイアトニックコードとしての解釈から本来「G#m7」となるところを、「G#7」としてセカンダリードミナントの雰囲気をアピールしているところがポイントです。

18. サブドミナントコードのセブンス「IV7」の活用

(キー=E)

「D → A7 → E」

ロック系によく見られる、トニックに落ち着くためのコード進行です。

特徴的なのは「IV7(A7)」の響きです。

セブンスコードのブルージーな響きと、そこから直接終止する流れが個性的です。

直前にある「♭VII(D)」も効果的に働いています。




19. サブドミナントマイナーからの平行移動の展開

(キー=D)

「D → Gm7 → F#m7 → Em7」

サブドミナントマイナーである「Gm7」に、都会的な展開が付け加えられたコード進行です。

「Gm7」以降、同じマイナーセブンスのままコード全体が平行移動で動いていくところも興味深いポイントだといえるでしょう。

このあとは、やはりこのままドミナントを経由せずに「D」へつなげてほしいところです。

20. 「V7」から「Vm7」への変形

(キー=G)

「Am7 → D7 → Dm7 → G7 → C」

サブドミナントコードの「Am」(IIm7)からはじまる構成で、「D7」から「Dm7(Vm7)」への変形が際立っています。

Bメロはもちろん、意表をついたサビなどにも使えそうな雰囲気があるコード進行です。

最後は「C」とせずに「Am7」としてループさせることもできます。



補足

以下のページでは、コード進行の実例が掲載された書籍を複数ご紹介しています。
コード進行本のおすすめ7選|コード進行を知りたい・理解したい・作れるようになりたい人のための本をご紹介します。

まとめ

ここまで、「おすすめコード進行20パターン その3」をご紹介しました。

今回はマイナーコードに展開していくアプローチがいくつかありましたが、これらを元にそこからオリジナルなコード進行へと発展させていくのも楽しそうです。

是非素敵な響きを作り上げてみて下さい!

サウンドが変わるとひとつのコード進行が生み出す雰囲気も変わります

※続きのページ
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