【作曲は楽しい】作曲歴28年の先生が伝える「作曲のこんなところが楽しい!」

作曲の先生をやっていると、時々

「作曲って楽しいですか?」

という素朴な質問を受けます。

私自身は16歳の頃に作曲と出会い、その楽しさにどっぷりとハマってしまった人間のため「楽しいです!」と即答する以外に無いのですが、実際のところ何が楽しいかといわれれば、そこにはいくつか答えがあります

多くの人に作曲の楽しさを知ってもらい、かつ既に楽しいと感じている人には「そうそう!」と思ってもらえるよう、ここではそんな「作曲の楽しいところ」について、改めて整理してみます。

「作曲のここが楽しい」

まず、私が25年以上作曲をしてきて「作曲のここが楽しい!」と思えるいくつかの項目を以下に挙げてみます。

  • メロディを生み出せる
  • ハーモニーを生み出せる
  • リズムを生み出せる
  • 歌詞でメッセージを伝えられる
  • サウンドを聴かせられる
  • 作品を残せる

私が歌のあるポップス・ロック等の作曲を主に行ってきたため、上記には「歌詞」という点が含まれていますが、私の中ではこれも作曲の魅力のひとつといえるものです。

これ以降は、それぞれについてより詳しく解説していきます。

作曲の楽しさ[1]メロディを生み出せる

まず、なんといっても作曲の一番の楽しさは「メロディを生み出せる」という点にあります。

音楽が好きな人であれば、自分の好きな曲をなんとなく鼻歌で口ずさんでしまったことがあるはずです。

ここでいう「メロディ」とはまさにその「鼻歌で歌ってしまうそのもの」で、それを自分でゼロから作り、オリジナルなものとして歌いながら楽しめます

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多くの人が「曲」といえば「メロディ」を真っ先に思い浮かべるもので、それを生み出せる楽しさがあります。

いろいろなメロディを作れる

メロディをゼロから作るため、もちろん音階や音符の細かさ、メロディの長さなどすべては自由です

  • 高いところをうねうねと動くようなメロディ
  • 低いところから高いところまで華やかに躍動するようなメロディ
  • 階段のように、順番にかけ上がっていくようなメロディ
  • とぎれとぎれで空白部分を聴かせるようなメロディ

など、挙げだすときりがないほど、そこではいろいろなメロディを考え出すことができます

「こんなメロディが歌えたらいいな~」というそのものを、まさに自分自身の感覚によって生み出すことができるのです。

展開によって生み出されるメロディ

また、一般的に「メロディ」というと単体のメロディを前提としてしまいがちですが、作曲においては「展開によって生み出されるメロディ」を楽しむこともできます。

つまり

  • 曲の前半は静かで動きの少ないメロディ
  • 中盤から少しずつメロディが動き出す
  • その後のメロディは広い音域で大きく動く

など、「前がこうだから次はこう」という変化も楽しめるのです。

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メロディを展開させて組み合わせることで、それぞれのメロディから感じられる印象もまた変わります。

作曲の「メロディを生み出せる」という楽しさは、そのような

  • メロディ単体を作る楽しさ
  • メロディを展開させる楽しさ

だといえます。

作曲の楽しさ[2]ハーモニーを生み出せる

次に、メロディと並んで作曲楽しさを感じられるのが「ハーモニー」です。

これは、ポップス・ロックでは「コード進行」とも言い換えることができますが、これらは通常メロディを引き立てる背景のような役割を持ちます

ハーモニーによってメロディの印象が変わる

私自身は、どちらかといえば前述したメロディよりもこの「コード進行」というものの奥深さにハマってしまった側の人間です。

その魅力には、いまだに感動させられていますが、コード進行の魅力は「曲の雰囲気をコントロールできる」という点にあります。

例えば「ドレミファソ~」というような何の変哲もないメロディでも、伴奏(コード進行)が変われば、それがものすごく特別なものに感じられてしまうことがあるのです

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すなわち、ひとつのメロディに対していろいろなハーモニーが想定できて、それによって曲から受ける印象を大きく変えることができるということです。

クリエイティブ+ロジカル

コードをつなげる作業は、ある程度理論や経験に基づいて行うことができます

理論的な観点から作ったコード進行が心地良く響いたときの感覚は格別で、その数学的(パズル的?)な作業も楽しいです。

ここで述べている「ハーモニー(コード進行)を生み出せる楽しさ」は、そのように

  • クリエイティブ(創造的)な作業
  • ロジカル(論理的)な作業

をあわせもっている点にある、と解釈しています。

作曲の楽しさ[3]リズムを生み出せる

「作曲=音楽を作る」という上で、欠かすことができないのが「リズム」です。

例えば地面を足で踏み鳴らすだけでもリズムを生み出すことができますが、そのような点からこの「リズム」は音楽の根元的なものだと解釈できます。

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なんとなく手拍子を打つだけでも愉快な気分になれるように、音楽好きな人であればリズムを生み出す楽しさがすぐに理解できるはずです。

どのようなノリを生み出すか

例えば「ドレミー」というメロディも、

  • ドーーレーーミーー
  • ドッレッミッ
  • ドード、レーレ、ミーミ

というようにアレンジするだけで、そこからはいくつものリズムが感じられます

これは、音楽的には「ノリ」といわれる要素で、そのように

「どんなノリを生み出すか」

という点を考えることが、作曲の楽しさのひとつといえます。

ノリのいい曲を生み出せば、そこから踊り出したくなるような雰囲気が感じられます。

また流れるように優雅なリズムからは心が穏やかになるような美しさが感じられるなど、リズムは直接感情に働きかけてくれるものです。

編曲的な楽しさ

この「リズム」という要素は、後述する「サウンド」や「演奏の仕方」によってもコントロールできます。

つまり前述したメロディやコード進行を、軽快にも、または優雅にも表現することができる、ということです。

それらは広い意味で「編曲」のジャンルに含まれるものですが、「作曲=音楽を作る」という観点からいえばこれも作曲の楽しさにあたるものとして解釈できます。

作曲の楽しさ[4]歌詞でメッセージを伝えられる

歌のある曲を前提とする場合、通常そこには歌詞が付きます

そのうえで、この「歌詞」によってなんらかのメッセージを伝えたり、文章表現としていろいろな作り込みが出来るのも作曲の楽しさのひとつだといえます。

通常、歌詞を作る楽しさは主に以下の二つに分けられると考えています。

  1. どのようなテーマを扱い、何を伝えるか、という楽しさ
  2. どんな言葉によってどのような言い回しをするか、という楽しさ

何をどう伝えるか

歌詞のテーマは本当に自由で、自分の身近なものをはじめとして、もっと規模の大きなものを扱うこともできます。

また、実在しない架空の物語を歌詞にしてしまうことも可能です。

単なる文章とはまた違い、「歌詞」という限られた表現方法の中でどのような演出をして、何をどう伝えるかを考えることができる奥深さがあります。

言葉選びを楽しむ

「何をどう伝えるか」とあわせて、歌詞作りの楽しさとして挙げられるのが「どんな言葉を使うか」という点です。

例えば、「簡単」という言葉がありますが、これを

  • 「たやすい」
  • 「易しい」

などの言葉に置き換えることもできます。

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それぞれの言葉が生み出す響きがあり、歌詞のテーマに合った堅さ・柔らかさがあり、それらを考慮したうえで最適な言葉を選ぶ楽しさがあるのです。

やっていることはどこかアーティスト的ですが、限られた文字数で「どう表現するか」を自分の思いのままに追求できる面白さは歌詞ならではのものです。

さらに、歌詞には前述した「メロディ」という側面があり、そこに対してどのよう言葉を当てはめるかという点も作曲者の腕の見せ所だといえます。

メロディにはまる気持ちい言い回しが見つかった時の楽しさなども、こちらに分類されるものです。

作曲の楽しさ[5]サウンドを聴かせられる

作曲は「音楽を作る行為」であり、それは純粋に「音」を生み出すことでもあります。

前述したメロディ・ハーモニーともつながる部分がありますが、その「サウンド」をどう聴かせるかを考える行為も、楽しさのひとつだといえます。

サウンドを通して世界観を演出する

こちらは、純粋な「作曲」というよりも「音楽制作」における楽しさといえるかもしれませんが、例えば

  • 気分が高揚するにぎやかな音
  • 心や安らぐ優しい音
  • さわやかな気分になれる音

など、サウンドを通して世界観を演出することができます。

これも、前述した「歌詞を作る楽しさ」とはまた違った、アーティスト的な観点による作曲の楽しさだと感じています。

作曲の楽しさ[6]作品を残せる

最後のひとつは「作品を残せる(作れる)」という楽しさです。

これは、「作曲」というある種の芸術活動だからこそ実現できるものです。

作品を生み出すアーティスト的作業

曲を作る行為は「作品を生み出す行為」であり、何もないところから、自分の頭の中で想像した音のイメージをもとに曲を生み出す作業はまぎれもなくアーティストそのものです。

作曲を続けるほどに作品は増え、それが一覧になっていくときの満足度はこの上ないものです。

また、ここまでに述べた

  • メロディ
  • ハーモニー
  • リズム
  • 歌詞
  • サウンド

のすべてを作品から感じ取ってもらい、それらを聴いたリスナーが作品を気に入ってくれればなおさらです。

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究極的な楽しさ(嬉しさ)は、リスナーに「良い曲だね!」と言ってもらえるその瞬間にあるかもしれません。

まとめ

以下は、改めてここまでに述べた「作曲のこんなところが楽しい」のまとめです。

  • メロディを生み出せる
  • ハーモニーを生み出せる
  • リズムを生み出せる
  • 歌詞でメッセージを伝えられる
  • サウンドを聴かせられる
  • 作品を残せる(感動を与えられる)

まだ作曲の経験が無い方も、少し作曲をやっていて楽しいと感じている方も、改めてこの「作曲の楽しいところ」をもとに、気持ちを新たにして作曲に取り組んでみてもらえると嬉しいです

良い曲ができたときの達成感は何にも代えがたいものがあります。

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