こちらのページでは
- これから作曲を始めてみたい
- 今よりももっと良い曲を作りたい
- 曲作りにかかる時間をもっと短くしたい
などの思いを持つ方のために、作曲のノウハウを整理してご紹介していきます。
私は現在作曲の先生として活動していますが、25年以上の作曲の中ではいろいろな試行錯誤や遠回りなどを経験し、その都度いろいろなことを学んできました。
こちらの内容が、上記のようなみなさんの活動のヒントとなれば嬉しいです。
※こちらでは、主に「ボーカルメロディのあるポップス・ロック」の作曲を前提として、ノウハウをご紹介します。
目次
作曲のノウハウ(作曲の前提となる知識)
歌いながら作る
ボーカルメロディのある曲を作るにあたり、最も注意すべきは
「メロディを口に出して、歌いながら作る」
という点です。
これは「ノウハウ」というより「約束ごと」に近いかもしれません。
歌ったときの感覚を判断基準とする
歌のメロディは、当然ながら歌われることが前提となります。
そのため、メロディには
- 歌いやすい(歌うことができる)
- 歌ってみると心地良い
などの性質が求められます。
上記で述べた「歌いながら作る」というやり方はそれを確認するためのもので、メロディを実際に声に出して歌うことで、
「歌うためのメロディとしてどうか?」
という観点を持ちながらそのメロディと向き合うことができるようになるのです。
「歌のメロディ」と「器楽のメロディ」
そもそもメロディには、大きく分けて「歌のメロディ」と「器楽のメロディ」の二種類があります。
例えば、ギターやピアノの高速フレーズを声に出して再現するのは誰しもが難しいと感じるはずです。
また、音の上下が激しすぎるフレーズも同様で、つまり楽器ではなんなく表現できるメロディでも、それを歌として表現すると途端に難しくなってしまう、ということが多々あるのです。
反対に、童謡などのシンプルな歌メロディを楽器で表現すると、なんとも味気ないものに感じられてしまいます。
それを踏まえ、メロディの作り方は
- 歌のメロディ=歌って作る
- 器楽のメロディ=楽器等で作る
というようにするべきで、ボーカル曲を作る以上この「歌って作る」というノウハウが魅力的なメロディをつくるための第一歩となります。
「キー」の音使いを基本として作る
私たちが日常的に触れているのは「西洋的な」音楽で、それらはつまるところ
ピアノ(楽譜=五線譜)で表現できる音楽
です。
これは「ピアノの鍵盤にある音のみによってメロディやハーモニーが成り立っている」ということを意味します。
そのうえで、ポップス・ロックにおいては12個の音がただやみくもに扱われることはなく、ほとんどの場合において「キー(調)」という概念を土台としてそこから音が選ばれ、曲は作られたり、演奏されたりします。
▼関連ページ
キー(音楽)について キー=「中心音」と「まとまりのある音のグループ」を意味する言葉
「キー」に関しては上記ページでも詳しく解説していますが、これはつまり
- 中心となる音
- その音を中心としたまとまりを感じさせる音のグループ
を定義するものです。
例えば「キー=C」というとき、
- 中心音は「ド」の音
- 音のグループは「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」
となり、その音楽ではこれらの音が「主に使う音」になります。
作曲を行う際にはまずこれを前提として理解すべきで、この点をきちんと把握しておくだけで
- メロディにどんな音を活用すればいいか
- コードにどんなコードを活用すればいいか
がわかります。
メロディには「メジャースケール」、コードには「ダイアトニックコード」を活用します。
使うべき音やコード、またそれらを元にした基本的なメロディ・コードの流れを知っていれば、必然的に作曲は円滑になり、またそれを自分なりにアレンジすることも出来るようになります。
このようなノウハウをあらかじめ理解しているか否かで、完成する曲の品質や、それまでに掛かる作業の時間は大きく変わります。
▼関連ページ
メジャースケールの内容とその覚え方、割り出し方、なぜ必要なのか?について
ダイアトニックコードとスリーコード(概要や成り立ち、コードの役割などについて)
作曲のノウハウ(作曲実技の知識)
メロディとコードを互いに少しずつ伸ばしながら展開させていく
作曲とは「音楽を作ること」で、中でもポップス・ロックの作曲において「メロディ」と「コード」をつなげて展開させることは作業の軸ともいえる行為です。
そのうえで、特にまだ作曲に慣れていない人におすすめできるのが
メロディとコードのそれぞれを互いに少しずつ伸ばしながら展開させていく
という作曲の進め方です。
メロディとコードの追いかけっこ
前述の通り、曲を作るにあたってはまず「キー」を明らかにすることがポイントとなり、それにより音使いがある程度決まります。
そして、それをもとに作り上げた「メロディ」と、同じくそれを元にした「コード」を組み合わせます。
「コード」から「メロディ」を連想する、または「メロディ」を先に思い浮かべてそこに「コード」を割り当てる、というどちらかです。
このとき、具体的には
- ひとつのコードを鳴らす
- そこに合うひとつの短いメロディを作り上げる
- それに合うコードをさらに割り当てコードを展開させる
- 展開させたコードの響きをもとにメロディもさらに展開させる
- 展開したメロディに合わせるようさらにコードを展開させる…
という流れによって、双方を互いに伸ばすようにします。
これを私は「メロディとコードの追いかけっこ」と表現していますが、それを表したものが以下の図です。
このやり方に沿えば、例えばメロディだけを先に作ったり、コード進行だけをあらかじめ決めてしまうようなやり方に比べてより自由に作曲を進めることができます。
メロディとコードは表裏一体
もちろん、時として「メロディだけ先の先まで展開できてしまう」というようなこともありますが、基本的には「メロディ」と「コード」は表裏一体であるため
- 「メロディが〇〇だからコードはこんな響きにしようかな…」
- 「コードが〇〇だからメロディはこんな感じかな…」
という観点を持つことが魅力的な曲を作るうえで重要となります。
このノウハウは、メロディやコード進行を作りやすくしたり、意外性のある曲を作るのに役立ちます。
また、後述する「前を受けて次をどうする」というやり方にも通じるものです。
前を受けて次はどうする、という観点で作る
楽曲は、スタート地点から時間と共に展開し、そこで聴くことができるメロディやコード・曲構成の変化を楽しむものです。
そのため、作曲をする際には「曲を時間と共にどう変化させていくか」という考えを持つことが大切で、より具体的にいえば
「前を受けて、次はどうすべきか?」という観点から曲を作ること
が求められます。
「前が〇〇だから、次は△△に…」という観点
例えば、前述した「メロディとコードの追いかけっこ」によって数小節の展開が完成したとします。
それを「曲の導入部分」にあたるブロック(Aメロ等)とした場合、そこから次に「サビ」に相当するブロックを作る際には
「Aメロは○○だから、サビでは△△にしよう」
という考えによって作曲を進めていきます。
つまり、この例では「Aメロを成り立たせている要素」を明確にし、それらを前提として次なる「サビ」の要素を設計し、方針を決めたうえで曲を作っていく、ということです。
曲を成り立たせる要素
以下は、「曲を成り立たせる要素」を例として一覧にしたものです。
- メロディの音階
- メロディに使われている音符の種類(リズム)
- メロディの始め方
- メロディの長さ
- メロディが途切れる部分の量、タイミング
- コードの種類、役割
- コードが切り替わるタイミング
- コードのまとまりの長さ
- ブロックそのものの長さ…
上記に挙げたのはあくまで一例ですが、曲はこのような要素が組み合わされることで成り立っています。
例えばAメロを作った後にサビを考える時、そこにAメロの要素と同じようなものを沢山盛り込むほどに、そのサビは「Aメロと似た雰囲気を持つサビ」になります。
反対に、Aメロに無い要素を沢山盛り込むほどに「Aメロとは全く違った雰囲気を持つサビ」になります。
このように、時間の経過を意識すること(前を受けて次をどうするか、という観点を持つこと)は、曲を聴きごたえのあるものにするためにとても重要です。
▼関連ページ
作曲のコツ|メロディに使われる音符の種類に気を配りリズム的印象を操作する
作曲のコツ|コードを切り替える速さやタイミングに配慮して、ストーリーの速度を明確に提示する
作曲のコツ|ブロック冒頭におけるメロディの始め方に気を配り印象を操作する
作曲のコツ|メロディに空白を設けて聴きやすさやメリハリを生む
作曲のノウハウ(音楽理論の知識)
前述した「キー」や「メジャースケール」「ダイアトニックコード」などは、一般的に「音楽理論」に分類されるものです。
同様に、その他の音楽理論についても深く学ぶことでそれが直接的な作曲のノウハウになります。
とはいえ、実際のところ音楽理論の範囲は広く、何をどこまで学ぶべきかは作曲のスタイルや「どのような曲を目指すか」という点によっても変わります。
この点については、以下のページにて「音楽理論学習の見取り図」として整理していますので、是非活用してみて下さい。
音楽理論を知りたい人のための「学習の見取り図」※独学に活用できる「音楽理論の何をどの順番で学べばいいか」のまとめ
※上記ページには各音楽理論を解説したページが直接リンクされているため、そのまま学習を進めることができます。
まとめ
ここまでに解説した作曲ノウハウのまとめは以下の通りです。
- 歌いながら作る
- 「キー」の音使いを基本として作る
- メロディとコードを互いに少しずつ伸ばしながら展開させていく
- 前を受けて次はどうする、という観点で作る
- 音楽理論の知識を活用する
それぞれに関する具体的なテクニックは、ここからさらに細分化していきます。
上記を参考に、実際の作曲を通してノウハウの意味するところを体感したうえで、それらを是非曲作りに活用してみて下さい。
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