「明るい」と感じるコード進行 全10パターン 爽やかで前向きな雰囲気を持つおすすめのコード進行

こちらでは明るい響きを持ったコード進行を10パターンご紹介していきます。

この「明るい」という雰囲気はサウンドなど編曲的観点からも演出することができますが、こちらではコードそのものから感じられる響きを重視して構成を組み立てています。

是非曲作りの参考にしてみて下さい。

※さまざまな響きを体感するために、あえていろいろなキーを活用しています。

※記事最後には、その他のコード進行パターンをまとめたページもご紹介しています。

明るい響きを持ったコード進行

1. スリーコードの明るさを前面に出した構成

(キー=G)

「G → D → C → G」

スリーコードのみを使ったシンプルな構成です。

音楽理論上、ドミナントコード(V、この例でいう「D」)はトニック(I、この例でいう「G」)に進行するとされていますが、こちらではそれを裏切り「C」にコードを進めているところがポイントです。

それにより、クラシカルで正統派な音楽とはまた少し違ったポピュラー音楽らしい明るい響きが生まれています。

なお、こちらでは終盤でそのまま「G」に落ち着けていますが、新たなコードへ展開させることも検討できます。

2. サスフォーによる安定感とコードの波

(キー=D)

「D → Dsus4 → D → Dsus4」

「sus4」を活用した、非常にシンプルなコード進行です。

サスフォーのコードは中途半端な響きを持っており、「続きを感じさせるような効果」によってコードのつながりに波が生まれます。

単に二つのコードを繰り返しているだけですが、このように十分に聴けてしまうコードのつながりを作り上げることができます。

特筆すべきはベース音となる「D」が保持されて、全体的に安定感があり、かつ明瞭で前向きなサウンドとなっているところです。

3. 少し能天気な明るさのある「II7」の活用

(キー=E)

「E → F#7 → A → B7」

こちらでは、ノンダイアトニックコードである「II7」(この例でいう「F#7」)のコードが活用されています。

通常「II7」は「ダブルドミナント」や「セカンダリードミナント」の扱いとして、「V」(この場合の「B」)に結びつくことが多いですが、ここではその形になっていないところが特徴的です。

(この形は「モーダルインターチェンジ」によって導き出されたものとしても解釈されます)

「II7」にはどことなく能天気な雰囲気があり、それが明るいムードを生み出しています。

▼関連ページ
セカンダリードミナントコード 成り立ちとその表記などをわかりやすく解説します モーダルインターチェンジの解説 モーダルインターチェンジとは何か?その使用方法や効果など

4. ブルース風の明るさ

(キー=F)

「F7 → B♭7 → C7 → B♭7」

こちらは、スリーコードを「セブンスコード」によってアレンジした構成です。

このように、シンプルでありがちなコードのつながりも「セブンスにする」という一つのアイディアを加えるだけで途端にリッチなものに感じられます。

ここではセブンスコードに含まれる「短7度」の音がブルーノート的な役割を果たし、全体的にブルージーな雰囲気が生まれているところが特徴です。

ラグライムブルースのように、明るく陽気な雰囲気で演奏したいコード進行です。

▼関連ページ
ブルースコードの概要とコード進行の例・バリエーション(ジャズブルースなど)

5. 「♭VII」「♭VI」の活用

(キー=E)

「E → D → A → C . D」

こちらはロック的な響きを盛り込んだコード進行で、サウンドの鍵となっているのは「♭VII」「♭VI」(この例でいう「D」「C」)です。

これらのコードはマイナーキーから借用できるものとして、導入することによって単なる明るさとはまた違った「少しとげとげしい明るさ」のような雰囲気を盛り込むことができます。

ドミナントコードである「B」を排除しているところもポイントとなっており、それによって決まりきったコードの流れを避けています。

ここでは三和音コードのみとしていますが、前述の例のように、部分的にセブンスコードを適用することもできるでしょう。

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フラット系三種のノンダイアトニックコード 同主調マイナーからの借用

6. サブドミナント→「♭III」という流れからトニックへの回帰

(キー=C)

「F → E♭ → B♭ → C」

こちらは、「キー=C」でありながらサブドミナントコード「F」から始まるところが特徴的な構成です。

ここでは前述した「♭VII」(この例でいう「B♭」)と、あわせて同じマイナーキーのコードである「♭III」(この例でいう「E♭」)も使用されています。

「E♭→B♭」というそれらの連結部分にはやはりロック的な雰囲気があって、単なるスリーコードには無い響きが生まれていることがわかります。

全体を通して聴くと、サブドミナントから始まったコードが個性的なコードを経由してトニックに落ち着く、というような印象を受けます。

7. マイナーキー→メジャーコードへの着地で明るい雰囲気を演出

(キー=Am [A])

「Dm → E7 → A」

こちらの例はキーを「『Am』または『A』」としていますが、これは「マイナーキーでありながらもコード進行の終着点でメジャーキーに着地すること」を意味しています。

このように「E7→Am」となるところを「E7→A」として、マイナーの構成を急激にメジャーな方向へ持って行くことでも明るい雰囲気は生み出せます。

これは「ピカルディの三度」とも呼ばれる手法で、本来の「明るいコード進行」とは少し違いますが少しテクニカルな構成としてこちらに加えました。

直前にマイナー系の流れを印象付けているほど、このメジャーへの転換がインパクトのあるものとして感じられます。

8. 爽やかで明瞭なオンコード

(キー=G)

「GonB → C → GonD → C」

こちらはオンコードを活用したコード進行です。

中身は「G→C→G→C」というシンプルなものでありながら、オンコードを盛り込むことで「シ→ド→レ→ド」というベースの流れを作り出すことができます。

この「GonB」「GonD」は転回形とも呼ばれるもので、「G」の構成音「ソ・シ・レ」のうち、本来のベース音「ソ」以外の二つをベースに差し替えている状態です。

明るさの中にスムーズな音のつながりが盛り込まれ、爽やかで少し上品な印象を受けます。

▼関連ページ
分数コード (オンコード、スラッシュコード)詳細と主な種類、代表的な活用方法などについて

9. ペダルポイントによる前向きな雰囲気

(キー=A)

「A → DonA → EonA → A」

こちらもオンコードを活用した構成で、前述の例が転回形によるものだったのに対し、こちらは「ペダルポイント」と呼ばれるような「保持されるベース音」をアイディアの元にしています。

ベースに変化が無いため全体的に安定感が生まれるのは「sus4」の例と同じですが、中でも「EonA」は本来の「E」(構成音=ミ・ソ#・シ)に無い音がベース音として加わるため複雑な響きを持っています。

こちらも根底にあるのはスリーコードのシンプルな構成であり、上記でセブンスのアレンジをご紹介したように、「オンコード」というアイディアによってそれをさらに発展させているところが特徴です。

明るく前向きな曲調のバラードなどによく活用されるコード進行です。

10. 変化和音によるテクニカルな明るさ

(キー=E)

「E → Eaug → A → G」

最後にご紹介するのは変化和音のひとつである「オーギュメントメントコード」を活用した、少しひねりのある構成です。

こちらでは、コードが展開するにしたがってそこに含まれる「シ」の音が「シ→ド→ド#→レ」と変化していきますが、前述した転回形オンコードの例とはまた違った音のつながりを体感できます。

加えてここでの「G」は「♭III」であるため、ロックなムードが加わっているところも特徴のひとつです。

通常、いろいろなコードを混ぜて響きを複雑にするほど「明るい=わかりやすい」というサウンドからは離れていきますが、アイディア次第でこのような構成も検討することができます。

▼関連ページ
オーギュメント(オーグメント、aug)コード|構成音の概要や使い方などについて

補足

以下のページでは、コード進行の実例が掲載された書籍を複数ご紹介しています。
コード進行本のおすすめ7選|コード進行を知りたい・理解したい・作れるようになりたい人のための本をご紹介します。

まとめ

ここまで明るい響きを持ったコード進行をご紹介してきました。

ひとえに「明るい」といっても、そこには単純なサウンドを持ったものから少しロックなな雰囲気のあるものまで、いろいろな種類のコード進行が想定できます。

作りたい曲調に合ったお気に入りのコード進行を是非見つけてみて下さい。

さまざまなテンポでこれらを演奏すると、また違った雰囲気を体感することができるでしょう。

※その他のコードパターン紹介ページはこちら
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