以前に、以下のような投稿をしました。
作曲にハマっている代表的症状→「ヒマさえあれば曲を作る」「複数曲を同時進行で作る」「展開を予想しながら曲を聴く」「音楽のコードの響きが気になる」「メロディがいろいろ思い浮かぶ」「曲完成に『できた~』の達成感」「他人の曲を聴き『これ使おう』」「夢の中でも曲のことを考えている」
— うちやま|作曲の先生 (@sakkyoku_info) July 17, 2022
ここで挙げているように、本当に作曲にハマっているときは既存の曲のいろいろな部分が気になってしまったり、曲作りに関するいろいろなことを考えてしまったり、強い「作曲欲求」のようなものが常にそこにあるものです。
言い換えると、なぜ「曲が作れない…」と悩んでしまうのかといえば、それはつまるところ「作曲したい!」という熱意がそこまでないからです。
これは、初心者レベルの人はもちろん、
- それまで何曲も作れていたのに最近作れなくなってしまった
- 以前に作っていて久しぶりにやってみたけど作れない
などの人も同じです。
熱意さえあればすべてが好転していくもので、この「曲が作れない」を解決するには何よりも先に熱意を持つことが大事だといえます。
私自身の作曲活動と、作曲の先生としていろいろな人を見てきた経験をもとに、少し考えてみます。
経験から考える「作れない」と「熱意」の関係
私はこれまで25年以上作曲をしてきていますが、その間にはもちろん「作れない」を何度か経験したことがあります。
その経験を通して、「作れる・作れない」にはやはり熱意が関係していると改めて思います。
1. 初心者が感じる「作れない」
作曲を始めたばかりの頃の私は、冒頭の投稿のような状態で作曲の熱意に溢れていて、とにかく作りたいという思いに突き動かされていたように思います。
初心者なのでもちろんやり方がわからない状態で、かつ現在のようにネットも無いことから情報も簡単には得ることができませんでいた。
教則本も見ずに、文字通り手探りで作曲を始めたわけですが、それでも「作れない」と悩んでしまうことがなかったのはやはり熱意のおかげです。
当時の私はギターの弾き語りが少しだけできる程度の状態でしたが、誰にも教わらず一曲目をなんとか作り、そこからもひたすら作曲を続けました。
自分に質問してみる
まず、現在
- 作曲に興味があって始めてみたいけど作れずにいる
- 数曲だけ作ってみたけどそこから次の曲が作れない
という状態にある人は、
- 本当に作曲をしたいか?
- 作曲を楽しいと思えるか?
と自分に質問してみて下さい。
これは、要は「熱意を持てているか?」を確認する作業なのですが、この答えが「いいえ」だったとしたら、曲が作れないのは当然です。
本当にやりたければ、絶対に作れる
そもそも、やり方がいまいちわからなくても、また上手にできなくても、本当に「作りたい!」という思いがあれば曲は作れてしまうものです。
完成する曲がありがちでシンプルな曲だったとしても、本当に作りたいなら曲は完成します。
つまり「やり方がわからないから」「上手くできないから」というのは「曲が作れない」の根本的な理由にはならない、ということです。
現在「作れない」と悩んでいる初心者の方は、まずこの点を自分の気持ちと照らし合わせてみて下さい。
初心者は無理して熱意を高めなくてよい
また、初心者の時点では、この「熱意=作りたいという思い」を無理して高める必要はありません。
熱意がないのであれば、他のもっと熱意を注げることに時間を使ってください。
反対に、その熱意がしっかりとあるならそれは「曲を作れる素質がある」ということになるため、後述するその他の改善点を探してみることで「作れない」を打開することができます。
外的な要因を探る
上記の確認を通して、自分の中にある「作りたい」という思いが確認できたら、曲が作れない原因がそれ以外にあると考えれらます。
- やり方がわからない
- 上手くできない
- 環境が整っていない
などはその例ですが、既に述べた通りきちんとした熱意があるならこれらを改善することで曲が作れるようになることがあります。
以下はそれぞれの要因と、その対処法をまとめたものです。
- ネットや本などでやり方を学ぶ
- 誰かに教わる
- 何度も繰り返して作業に慣れる
- 自分の曲を厳しく評価しすぎないようにする
- 今ある環境でやれる方法を探す
- 環境を整えてから改めて作曲に取り組む
以下はここまでのまとめです。
- 初心者で「作れない」と悩んでいる場合、そもそも「作りたい」という思いがそこまで無いことが考えられる
- しっかりと「作りたい」という思いが確認できたうえで、次なるステップとして外的な要因を探る
- やり方がわからない、上手くできない、環境が整っていない、などをそれぞれの方法によって改善すると曲が作れるようになる
2. ある程度作った後に陥る「作れない」
ここで私自身の経験に話を戻すと、作曲を始めた頃から熱意に溢れていた私も、ある時に「作れない」という状態に陥ることになります。
これは、ページの冒頭で挙げた「それまで何曲も作れていたのに最近作れなくなってしまった」という人と同じ症状です。
「マンネリ」や「飽き」
このタイプの場合、おおかたの原因は「マンネリ」や「飽き」にあり、私の場合もそれは同じでした。
それまでに5年以上作曲をしていたことから、ほとんどのコード進行やメロディライン、曲構成などは経験してきており、やっていることに目新しさを感じなくなっていました。
曲作りの面白さは理解していながらも、作業が同じことの繰り返しに思えてしまいやりがいのあるものだと思えなくなっていました。
もちろん、前述した「やり方がわからない」「上手くできない」「環境が整っていない」はすべて満たしているため、自分以外に要因はありません。
すなわち、ここでも原因は「作曲に対して熱意が持てない」という点にあったのです。
簡単には作曲をやめられない難しさ
初心者の時点では
熱意がない=そもそも作らなくてよい
という判断ができましたが、ここでの例のように、ある程度作曲を経験しているとそこには熱意がないからといって簡単に作曲をやめることができない難しさがあるものです。
例えば、
- 作曲を仕事として請け負っている
- バンドなどの役割として作曲をしている
- これまでやってきた作曲を簡単にあきらめたくない
などの状態がそれにあたります。
私自身も同じような経験をしていますが、初心者レベルにない人が悩む「曲が作れない」にはこのような背景があり、そこがまた改善の難しい点であるともいえます。
作曲を「魅力的な作業」だと感じられるようにする
そのうえで、ここでの「作れない」を打開するためには、
- 「どのようにして作曲を『魅力的な作業』として感じられるようにするか?」
- 「どのようにモチベーションを回復させたリ、新たな刺激を得るか?」
を考えることがポイントとなります。
これは、初心者段階とは違い「自発的に熱意を高める必要がある」ということを意味します。
この点について、詳しくは以下の記事でも解説しています。
作曲のネタをどのように見つけるか|ネタ切れを防ぐため新しい音楽・理論等を活用する
【具体策あり】作曲のやる気を高め、モチベーションを維持させる4つの行動|刺激を得てそれをエネルギーに変える
具体的な行動のアイディアは上記ページをご確認いただきたいですが、ここでもそれを一覧として以下に挙げます。
- 未知の音楽・他人が新たに作った曲を聴く
- 曲を分析する
- 音楽理論や作曲法を勉強する
- 仲間を作る
- 目標を明確にする
これらは、要約すると
- 根本的に音楽を学び直すこと
- 他人の曲や環境から刺激を受けること
- きちんとした目標を立てること
という三つの行動に集約されます。
「ある程度作曲を経験している」「『マンネリ』や『飽き』によって以前ほど作曲に熱意を持てない」という場合には、これらを通して「曲が作れない」という悩みを打開する道を探ってみて下さい。
上記ができていないことがほとんど
上記の裏を返せば、初心者レベルに無い人が「作れない」と悩んでしまっている場合、ここで挙げた具体的な行動のどれかが欠けていることが多いのです。
そのうえで、ここでも自分自身に以下のような内容を問いかけることによって解決の糸口をつかむことができます。
- 未知の音楽・他人が新たに作った曲を聴いているか?
- 曲を分析的な視点で聴いているか?
- 音楽理論や作曲法を勉強しているか?
- 自分と同じく作曲をしている仲間がいるか?
- 目標が明確になっているか?
くよくよと悩んでいないで、これらの問いかけを通して行動を起こせば、曲は自然と作れるようになっていきます。
まとめ
ここまでをまとめると、結局のところ「曲が作れない」を乗り越えるのは「なんとしても作りたい」「作らなければいけない」などの強い気持ちを持つこと以外に無いことがわかります。
初心者の段階や、既に多くの作曲を経験している状態のそれぞれで対処方法に若干の違いはあるものの、この点を心に留めて置けば「作れない」と悩む機会は格段に減っていくはずです。
これらをもとに、前向きな姿勢で作曲に取り組んでもらえると嬉しいです。
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