コード進行パターン集(6)全20パターン ディミニッシュコードやペダルポイントを活用した上級アプローチ

こちらのページでは、ポップス・ロックなどで使えるおすすめのコード進行「その6」をご紹介していきます。

※前回の記事はこちら
コード進行パターン集(5)全20パターン クリシェラインのベース活用、ツーコードのシンプル構成など

今回はディミニッシュコードの連結や分数コードを取り入れた構成など、少し上級者向けのアプローチも含めています。

新たなサウンドを取り入れる意味でも、是非こちらにあるいろいろなコード進行を試してみてください。

※こちらでもまたあえていろいろなキーを活用しています。

おすすめコード進行

1. もの悲しい雰囲気のあるコード進行

(キー=Am)

「Am7 → Em7 → Dm7 → FM7」

どことなくもの悲しい雰囲気があり、ボサノバ調の曲などに活用できそうなコード進行です。

最後の「FM7」からそのまま「Am7」につなげるとドミナントの「E7」を回避できるため、コード進行全体の起伏が少なくなります。

都会的で、淡々とストーリーが展開していくような響きを持っています。

2. ブラジル音楽的な構成

(キー=E)

「F#m7(11) → F7-5 → EM7(9)」

ルートが半音ずつ下降する、ブラジル音楽では常套句的なコード進行です。

「F#m7(11)」のイレブンスの音と、「F7-5」の減五度音のおかげで「シ」の音がずっとホールドされています

やっぱりボサノバのリズムで弾きたくなってしまいます。

3. 「♭IIIM7」を活用したAOR風コード進行

(キー=A)

「AM7 → Bm7 → CM7 → Bm7」

少しAOR的な雰囲気もある四和音の連続構成です。

ノンダイアトニックコード「♭IIIM7(CM7)」の響きがお洒落です。

ループ系のコード進行なので、R&Bの曲調などにも使えそうです

4. 「♭13」とサブドミナントマイナー

(キー=A)

「A → A7(♭13) → DM7 → Dm7」

テンションコードとサブドミナントマイナーを絡めたシンプルな構成です。

♭13thにより「A7」の5度音が半音ずつ上昇し、「DM7 → Dm7」の流れでまた半音下降する、という面白さがあります。

この例のように、テンションコードは使い方によってトップノートの動きを操ることができます

5. パワーコードに似合うロック的構成

(キー=A)

「A → D7 → C7 → G → A」

ロックでよく見かけることができるループの構成です。

ここでは三和音以上のコード表記となっていますが、すべてをパワーコード(1度と5度)で鳴らすとよりロック的な雰囲気が生まれます

「G」を経由せずにそのまま「C7 → A」と落ち着かせても格好良いです。

6. 「これが私の生きる道」風コード進行

(キー=E)

「E → Bm → C#m → F#7」

PUFFY「これが私の生きる道」風のコード進行です。

冒頭の「E → Bm」がいかにもビートルズ的で、この「I → Vm」はロックでもひねりのある構成としてよく登場します。

また「Bm」のあとは「E7 → A」と進めるのが一般的ですが、ここでは「C#m」へと展開させています。

7. 近未来的な雰囲気のある構成

(キー=D)

「D → B♭7 → D」

少し近未来的で、かつブルージーな響きを持った構成です。

「B♭」は「♭VI7」でノンダイアトニックコードとなりますが、このコードが良い味を出しています。

メジャーとマイナーのムードをあやふやにしつつ、さらにセブンスとしていることで怪しげな雰囲気が生まれています。

8. マイナー系のツーコードループ

(キー=Em)

「Em → CM7 → Em → CM7」

ループ系コード進行として、マイナーの構成でトニックの機能を繰り返しています。

「Im」(この場合Em)を繰り返すだけでは単調すぎると感じる場面で、このような代理的解釈を持ったメジャーセブンスが入ると独特な浮遊感が生まれます。

「Em」を「Em7(9)」のようにテンションで装飾すると、より都会的なサウンドになります。

9. 「Sir Duke」風コード進行

(キー=B)

「B → G#m → G7(9) → F#7」

スティービー・ワンダーの有名曲「Sir Duke」風のコード進行です。

ハイライトは、やはり「G#m」からの半音下降です。

裏コードを活用したシンプルな展開ですが、この部分によってお洒落な雰囲気が生まれています。

ちなみに「サーデューク」Bメロのコード進行も半音下降が際立っています。

10. ペダルポイントのツーコード

(キー=G)

「G → Am7onG → G → Am7onG」

分数コードを使ってルートの「G」を保持しています。

「Am7onG」は「Gsus4」の変形とも解釈できますが、ここではあくまで「Am7」主体という捉え方をしています。

ループ系の曲などに使えそうなコード進行です。

11. マイナー構成におけるダブルドミナント

(キー=Am)

「Am → B7 → E7 → Am」

セカンダリードミナントを利用したフォークソング的構成です。

ここでの「B7」は「V7(E7)」につながるセカンダリードミナントとして「ダブルドミナント」などと呼ばれます。

「E7」を「B♭7」にしても面白そうです。

12. 「sus4」と「VII7」の組み合わせ

(キー=A)

「AM7 → G#sus4 → G#7 → C#m」

耳慣れない「VII7(G#7)」が活用された構成です。

「sus4」はその準備部分のような働きを持っており、直接「VII7(G#7)」を登場させるよりもつながりが滑らかになっていると感じられます。

「A → G#」というルートの展開自体が珍しいですが、「G#sus4」によって「ド#」の音が保持されているところも興味深いです。

13. 「おいしい水」風コード進行

(キー=Bm)

「Bm → Bm7onA → G#dim → Gdim → Bm」

ボサノバの有名曲「おいしい水」風の展開です。

三つめと四つめのコードはツーファイブにもできますが、ルートの下降を演出するためにディミニッシュの連結としています。

「Gdim → Bm」という終止もお洒落で、この「Gdim」は「F#7」の代理であると解釈できます。

14. 「I Saw Her Standing There」風コード進行

(キー=E)

「E → E7 → A7 → C7」

ビートルズ「I Saw Her Standing There」風のブルージーなコード進行です。

ここでもサブドミナントコードのセブンス化である「IV7(A7)」が効果的に働いています。

また「♭VI7(C7)」の尖った響きも格好良いです。

15. 構成音のうち一音を保持する

(キー=D)

「Em7(9) → A7(13) → DM7(9) → B7」

セブンスとテンションを多用した浮遊感のあるコード進行です。

「E」における「9th」の音が、コードが展開しても保持されている形となっています。

このように特定のコードにある一音を意図的に鳴らし続け、偶発的にテンションコードを生み出すこともできます。

16. ノンダイアトニックコードの部分的配置

(キー=A)

「C#m7 → F#7 → G → Bm7onE → A」

ダイアトニックコードを主体としたコード進行の中に「♭VII(G)」が組み込まれています。

全体をスタンダードな構成にしつつ、一部分のみにノンダイアトニックコードを活用することで流れを乱すことなくスパイス的にその響きを印象付けることができます

ドミナントコードの役割を「Bm7onE」として提示することで、あやふやな雰囲気のまま終止しているところもポイントです。

17. マイナーキーにおける「♭IIM7」の活用

(キー=Am)

「Am → B♭M7 → Am → B♭M7」

マイナーかつ都会的な雰囲気が感じられるシンプルな構成です。

「B♭M7(♭IIM7)」は「Dm」の代理とも解釈できますが、ここでは「A → B♭」の進行から、裏コードの変形のような役割になっています。

このツーコードを延々とループさせるだけでも十分に聴き応えのある曲にしていけそうです。

18. マイナーキーにおけるディミニッシュコード

(キー=Em)

「Em → B♭dim → Am7 → Em」

ディミニッシュコードによる技巧系のコード進行です。

ここでは、「B♭dim」によって「Em」の5度音「シ」の音が「シ → シ♭ → ラ」と半音下降しています。

ドミナントを経由せずにトニックに戻っているところも特徴的です。

19. 「♭VII」とペダルポイント

(キー=E)

「E → DonE → E → DonE」

「♭VII(D)」に、ペダルポイントの手法をあわせ「DonE」としています。

「ルート『E』を保持する」という発想によって「DonE」の形が生まれていますが、そのルート音はコード「D」における「9th」の音になっています。

こちらも、シンプルでも十分にさまになるコード進行です。

20. 「Lady Madonna」風コード進行

(キー=C)

「Fm7 → B♭7 → E♭M7 → Dm7,G7 → C」

ビートルズ「Lady Madonna」のブリッジ風コード進行です。

「キー=E♭」に部分転調し、「IIm7 → V7(Dm7 → G7)」を経由してもとのキーに戻ってくる、という技巧的な展開です。

この例のように、Bメロなどに転調を取り入れることで、その部分を印象的なブロックとして作り込むこともできます。

補足

以下のページでは、コード進行の実例が掲載された書籍を複数ご紹介しています。
コード進行本のおすすめ7選|コード進行を知りたい・理解したい・作れるようになりたい人のための本をご紹介します。

まとめ

ここまで、「おすすめコード進行20パターン その6」をご紹介しました。

こちらでご紹介しているように、特にセブンスコードに対するテンションのアプローチはポップス・ロックの中でも重宝します。

これらを参考に、いろいろな構成を探求してみて下さい。

まずはドミナントセブンスからテンションを導入してみると、その響きを体感できるはずです。

※「その1」のページ
コード進行パターン集(1)全20パターン シンプル構成からロック・ボサノバ風まで

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