こちらのページでは、なにかと時間が掛かりがちな作曲のペースをある程度上げて、かつそれを保つための方法について考えてみます。
目次
作曲ペースのおおまかな目安
作曲のペースや作業の頻度などに関して、以前に以下のような投稿をしました。
1曲作るのにかかる時間
数時間~1日
→ちょっと早すぎる、多分どこかにアラがある数日~1週間
→適正2週間以内
→やや遅いが許容範囲1か月以上
→だらだらやってるこれはアレンジ無しの作曲を指してます。もちろん狙いにいくほど時間は長くなりますが、目安として参考にしてみてください。
— うちやま|作曲の先生 (@sakkyoku_info) July 14, 2020
数時間~1日 → ちょっと早すぎる、多分どこかにアラがある
数日~1週間 → 適正
2週間以内 → やや遅いが許容範囲
1か月以上 → だらだらやってる
これはアレンジ無しの作曲を指してます。もちろん狙いにいくほど時間は長くなりますが、目安として参考にしてみてください。
ここで述べている通り、1曲を作り上げるのに目安となる期間はおおむね数日~1週間程度、長くても2週間以内です。
上記にある「1曲」とは、曲の骨格のみ(=メロディとコード進行だけで曲を最初から最後まで通して聴けるもの)ができあがっている状態を指しています。
もちろんこれは作業への慣れ、および作業量や1曲をどの程度丁寧に作り込むかによっても変動しますが、ポップス・ロックなどの標準的な楽曲は、2~3日程度で作りきってしまうのが理想的です。
※例えば作曲に全然慣れていない人がゼロから曲を組み立てきちんと聴けるような音源を目指す場合などには、必然的により多くの時間が必要となります。
ペースが速い・遅い例
上記にもあるとおり、目安となる期間よりもペースがあまりに速い/遅い場合には、その点を問題視すべきだと考えられます。
1. 数時間程度で曲を完成させてしまうケース
メロディやコード進行がスムーズにつながっていく時などは、数時間で曲が完成してしまうこともあるはずです。
そのような場合には、
- 作業がいい加減になっていないか
- 似たようなメロディ・コード進行を持つ既存の曲はないか
- 冷静になってその曲を本当に納得できるものだと感じられるか
などを改めて確認してみることをおすすめします。
よくヒット曲の中には「数時間で作ってしまった」というエピソードを持つものもいくつか存在していますが、私の経験上、そのようなケースは本当に稀です。
作曲者として納得できる曲を作るにはやはり最低数日は必要となり、仮に数時間で完成してしまったとしても間をおいて冷静になるとアラが見えてくるものです。
「作曲のペースを上げること」は「適当に作ること」ではない、という点をまず心に留めておいてください。
2. 曲を作り始めてから数週間~1か月以上かかってしまうケース
上記とは反対に、納得できるメロディやコード進行・曲構成などが作れない場合、曲完成に数週間以上かかってしまうこともあります。
これを「曲を丁寧に作り込んでいる」と捉えることもできますが、ただ単にだらだらと時間をかけているだけである場合にはその点を改善すべきです。
このような状態は気ままに作曲をしている人が陥りやすく、その原因は「締め切りが無い」という点にあります。仕事として作曲を請け負ったり、誰かのために曲を作る場合にはほとんどの場合期限が設けられており、必然的にだらだらと時間を掛けることはできなくなります。
あまりに時間が掛かっている場合には、後述する内容をもとに、目安となる期間内に収まるよう改善させる必要がある、といえるでしょう。
目安となる期間(数日~1週間程度)以内に曲を完成させ、そのペースを保つためのコツ
「数日~1週間程度で曲を完成させる」という作曲の適正なペースが保てるようになると、常時それを実践することで日常的に曲が完成していくことになります。
結果として、それによって数ヶ月でかなりの曲数を作り上げることができるはずです。
以下は、作曲のペースを適正なものにし、それを保ちながら日常的に曲を作り続けていくために考えられるいくつかの方法です。
- 曲完成までの期限を設ける
- やるべきことを順序立てて明確にする
- すぐ作曲に取り掛かれる環境や時間を設ける
- 作業前にあれこれと悩まず、さっさと作曲を始める
それぞれについて、これ以降で詳しく解説していきます。
1. 曲完成までの期限を設ける
まず、作曲のペースを上げ、かつそれを保つために最も効果があるのが「期限を設ける」というやり方です。
これは、上記でも述べた通り簡単にいえば「締め切り」の概念で、それによって必然的に「てきぱきやらなきゃ」という意識が芽生えます。
仕事や依頼などで作曲を請け負っていない場合でも、自分の中に「個人的な締め切り」を設けます。
また、曲完成までの期限を設けることで後述する「作業内容や順序」をもとに時間配分ができるようになります。
例えば
「〇〇日までに曲を完成させよう」
と決めたら、作りたい曲の構成やボリュームによって「作業内容や順序」が決まり、そこから
- 「今日中にここまでは作っておかなきゃ」
- 「△△日に最終確認したいからその前日までにはここまで」
というように逆算してスケジュールを組み立てることができます。
2. やるべきことを順序立てて明確にする
上記で述べた「締め切り」を守るために欠かせないのが「作業の内容」と「作業の順番」を明確にする、ということです。
例えば、「A→B→サビ」という形式を持つ楽曲を仕上げるためには、文字通り
- Aメロ
- Bメロ
- サビ
という三つのブロックが必要となり、それにあわせてフルコーラスを踏まえれば
- イントロ
- 間奏
- アウトロ
なども作る必要があります。
曲の多くはツーコーラス(1番→2番)以上の長さへ展開することがほとんどで、ツーコーラス目にはワンコーラス目とは違う何らかのアレンジも求められるはずです。
通常楽曲は冒頭のブロックから、またはサビなどから逆算して作られますが、やるべき内容が決まればその順序も決まり、そこから前述した時間配分もできるようになります。
3. すぐ作曲に取り掛かれる環境や時間を設ける
「作曲のペースを上げる・保つ」を実践する上では、「すぐやれる状態」にしておくことも欠かせません。
この「すぐやれる状態」には「環境」と「時間」の二つの側面があり、このうち前者の「環境」は作曲ができる場所やそれに必要となる道具などをあらかじめ揃え、すぐ使えるようにしておくことなどを指します。
簡単にいえば、「さあやろう」と思ったらすぐ作曲に取り掛かれるような環境にしておく、ということです。
また後者の「時間」については、以前に以下の通り述べています。
曲作りは物理的に時間が掛かります。1日24時間しかないので仕事やその他でやるべきことがあまりに多いともちろん作曲する時間は無くなっていきます。なんとなく「やらなきゃ」と思っているだけではなくそのための時間を整理すること、そして生まれた時間できちんと作業することが思いのほか大事です🙂
— 内山敦支|うちやま作曲教室 (@sakkyoku_info) August 27, 2020
作曲という行為に取り組む以上、時間は当然のごとく必要となるため、そもそも日常生活のスケジュールを整理し、作曲に充てられる時間をまず捻出しておくことが大切だということです。
この「環境」と「時間」が整うことで、適正なペースに沿った日常的な作曲活動が実現できるようになります。
4. 作業前にあれこれと悩まず、さっさと作曲を始める
最後に挙げたのが「すぐに作曲に取り掛かること」で、作曲のペースを考える上でこの点が思いのほか大切です。
自動的に作業に取り掛かる
何かの行動を起こす時「頭を使うべき」とはよく言われますが、それが先行することで行動に躊躇してしまうようでは本末転倒です。
ここまでに述べたいくつかの条件が揃っていれば、自動的に、何も考えずにとにかく作業に取り掛かることができるはずです。
あれこれ悩まず集中する
「作曲の環境」に通じるものとして「集中できる」という点も重要です。
ネットを見ず、テレビも消すなど、気の散るものを排除し、没頭できるほど作業ははかどります。
作曲をてきぱきとこなすために、最終的にはこのような「すぐやる、集中してやる」という心構えが最も重要だともいえます。
まとめ
今回述べた、「作曲のペース」に関するまとめです。
- 1曲を完成させる目安は「数日~1週間程度」
- 作曲のペースを上げ、保つためには「環境」と「時間」が必要
- やるべきことを明確にし、順序立てて時間配分をする
- 決めたことをさっさとやることで日常的な作曲のペースは保たれる
是非これを、積極的な作曲活動に役立ててみて下さい。
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