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音楽理論 | クリシェ(1)概要と代表的な使用例

クリシェの概要

コードの内声を変化させていく「クリシェ」の技法は、ロック・ポップスの中でしばしば見かけることが出来ます。

「クリシェ」とは、コード進行の技法おいては、あるひとつのコードの中の音を順番に下げたり上げたりして、コードそのものを変化させていくやり方を指します。

三和音は「1度」「3度」「5度」の三つの構成音によって成り立っており、クリシェではそれらを上げたり下げたりしながらコードをつなげていきます。

クリシェの使用例:キー=C

Iの1度音下降型クリシェ

下記はダイアトニックコード内の「C(I)」をクリシェによって展開させた例です。

  • C → CM7 → C7 → C6(I → IM7 → I7 → I6)
一番目のコードである「C(I)」を起点として、二番目のコードでは、1度音の半音下である「長7度」を付加した「CM7(IM7)」が使用されています。

(根音である1度の音は基本的に保持し、1度音をオクターブ上の「8度」と捉えて、それを下降させるかたちでコードを作っていきます)

三番目のコードでは、その変化音をさらに一音下げ「短7度」を付加した「C7(I7)」が使用され、四番目も同様に、さらに半音下の「長6度」を付加した「C6(I6)」を使用しています。

四つのコードの動きを通して、コード構成音の1度=8度が「8度 → 長7度 → 短7度 → 長6度」と半音ずつ下がっており、コードを連続して鳴らすことで音の変化を感じることが出来ます。

「コードの中の1度の音を順番に下げていく」という発想が前提としてあって、その構成を作った結果として「C7(I7)」と「C6(I6)」がノンダイアトニックコードとして違和感なく使用できていることがわかります。

また、クリシェは基本的にルート音が保持されるため、コード進行としての安定感が保たれることも特徴です。

VImの1度音下降型クリシェ

1度(8度)の音を下降させるクリシェはマイナーコードにも頻繁に使用されています。

下記はダイアトニックコード内の「Am(VIm)」をクリシェによって展開させた例です。

  • Am → AmM7 → Am7 → Am6(VIm → VImM7 → VIm7 → Vm6)
「C(I)」の例と同様に、起点となる「Am(VIm)」の1度音を下降させています。

コードにそれぞれ「M7」「7」「6」が付加されていくのは「C(I)」の場合と同様で、同じく下降していく8度音の変化を体感することが出来ます

この例では「AmM7(VImM7)」と「Am6(VIm6)」の二つのコードがノンダイアトニックコードとなります。

前述の例も含め、1度音下降型のクリシェは、主にダイアトニックコード内の「I」「IIm」「VIm」に使用されます

Iの5度音上昇型クリシェ

上記の例とあわせて、クリシェの手法として「5度音の上昇」も頻繁に使用されます。下記はその例です。

  • C → Caug →C6 → C7(I → Iaug → I6 → I7)
「C(I)」を起点として、二番目のコードでは、その構成音である5度音を半音上げ「増5度」とした「C(Iaug)」(オーギュメント)が使用されています。

次いで三つ目のコードとして、その変化音をさらに半音上げ「長6度」を付加した「C6(I6)」がつながり、四つ目には同じくそれを半音上げ「短7度」を付加した「C7(I7)」がつながっています。

コードのつながりにより、5度音が「5度 → 増5度 → 長6度 → 短7度」と上昇していることが体感できます

1度音下降型のクリシェに比べて5度音上昇型のクリシェは使用される範囲が狭く、ダイアトニックコードの中では「I」のみに使用されることがほとんどです。

このコード進行の場合には「Caug(Iaug)」「C6(I6)」「C7(I7)」がノンダイアトニックコードとなるため、調性内の響きを前提とした場合、全体的に耳慣れない印象を受けます

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