こちらでは
「作曲が上手くなる習慣」
と題して、「日常生活の中でこんなことやると作曲上達に効果がある」という内容を整理してご紹介します。
※当記事はこちらのポッドキャストの内容を編集/再構成したものです。
目次
作曲が上手くなる7つの習慣
1. 弾き語り
まずひとつ目に挙げられるのが「弾き語り」です。
いろいろなところでも述べているとおり、弾き語りには以下のような効能があります。
- 曲の構造が理解できる
- 口からメロディを発する練習になる
- 音感が鍛えられる
これらは、そのまま「作曲の感覚を養うこと」につながるものだといえます。
また、演奏を通していろいろな曲を分析的に聴くことにもなるため、曲の成り立ちを理解したり、分析力をつけたりする意味でも弾き語りは効果的です。
弾き語りは楽しみながらやれるという意味でも習慣にしやすく、かつ一度に複数の効果が見込めるため、「1日に1曲」などと量や範囲を決めて、日課として取り組めると理想的です。
2. 鼻歌を歌う
ふたつ目に挙げられるのが「鼻歌を歌うこと」で、これは既にご紹介した弾き語りに少し近いものともいえます。
そもそも、ポップス・ロックの作曲において、メロディは基本的に歌いながら考えるべきものです。
その際には、
- 頭の中で一度メロディをイメージする
- 音をつないで脳内でメロディを作る
- 実際に発声する
というようなステップが必要となりますが、「鼻歌を歌う行為」によってそれらをこなすための感覚を磨くことができます。
また、鼻歌は弾き語りのように楽器を必要としないため、気が向いたときにいつでもすぐにやれるという利点があります。
「独りメロディ」をやる
好きな歌を鼻歌として自由に口ずさむだけでも作曲上達には効果がありますが、メロディ作りを前提としてさらに私がおすすめしているのが「独りメロディ」の実践です。
これは、「独り言」のメロディ版ともいえるもので、日常的につぶやく独り言に極力メロディを乗せるようにすることで、「鼻歌」と「メロディ(フレーズ)作り」を同時に行うことができます。
最近は出先でマスクをする機会が増え、口元を気にせず小声でこの「独りメロディ」を実践しやすくなったため、メロディ作りの感覚を磨きたい場合にはぜひ積極的にこれを習慣化してみてください。
3. 幅広く曲を聴く
三つ目は「曲を聴く」という行為で、なるべくたくさんの音楽を、幅広く、日常的に聴けると望ましいです。
これは、作曲におけるアウトプットの質を高めるために音楽のインプットを増やすことを意味しますが、当然のことながら、音楽をたくさん、そして幅広く聴くとその分いろいろなタイプの音楽を生み出せるようになっていきます。
最近ではサブスク音楽サービスを利用すれば、月に1000円程度で新/旧/洋楽/邦楽問わずたくさんの音楽を聴くことができるため、それを活用するのが最も現実的で効率が良いといえます。
いわゆる「名盤」と呼ばれるようなアルバムを片っ端から聴いたり、また有名なアーティストでまだ聴いたことのない音楽があればそれを試しに聴いてみることもできます。
作曲的な観点で向き合う
さらには、作曲上達につなげる意味でこれに連動して、
「音楽を作曲的な観点から聴く」
という姿勢も大切です。
これは曲分析に近い行為ともいえますが、音楽を幅広く聴きつつ、気になるメロディやハーモニー、曲展開などを作曲的な観点によって捉えることを指します。
これによって、日常的な音楽鑑賞を作曲上達に有効な形でつなげることができます。
DTMによる音楽制作に取り組んでいる場合には、同じようにサウンドやアレンジ面にも着目することもできるはずです。
4. 気になるメロディやハーモニーをすぐに調べる
次に挙げられるのが、「メロディやハーモニーをすぐに調べる」という点で、これはまさに習慣(=癖)のようなものだといえます。
音楽を聴いていて気になるコードの響きに出会ったら、
「(曲タイトル) コード」
のような検索ワードを使ってネットで調べるようにすると、そのコードがなんというコードネームで、どんなサウンドを持ったものなのかを明らかにすることができます。
同様に、雰囲気の良いメロディや印象に残るメロディーがあったら、それを実際に楽器で演奏して実音に起こしてみることも効果的です。
さらには、
- メロディがどんなコードの上に成り立っているか
- どんな音の進み方になっているか
- どのようなリズムによって成り立っているか
- (ボーカル曲の場合)歌詞に対してどんな音が扱われているか
などを分析してみると、メロディに対する理解をより深めることができます。
5. 作曲関連の本を読む
次に挙げられるのが、作曲関連の本を読むことです。
こちらは習慣というよりは「作曲の勉強」という色合いが強いものだといえますが、知識を得るという意味でやはりこのような取り組みも大切です。
現在では動画による情報収集も一般化していますが、動画は無料でいろいろな情報を得られる一方で、受け身の姿勢になることで知識が頭に入りづらいというデメリットもあります。
その一方で、本は自発的に読もうとしないかぎり読めないため、自分自身で本を入手して読み込むことで、動画による学習以上に知識を定着させることができます。
音楽理論書や、また作曲のネタを集めたような本でも構いませんが、例えば「一週間に1冊を読み切る」というように自分なりのルールを決めて、読書を実施できると理想的です。
それらの本を移動に使うかばんの中に入れておいたり、部屋の中ですぐ手の届くところに置いておいたりして、時間ができたらすぐに読むようにすることも習慣化させる意味で有効です。
6. 作曲に関する何かをやる
次に挙げられるのが、直接的な曲作りにつながる何かを習慣として実施する、という点です。
具体的には、
- メロディを考える
- コードをつなげてみる
- 作りかけの曲の続きを作る
などで、「作る」という行為に含まれるなんらかをやるやることが、作曲上達を目的とする際に重要です。
根本的に、作曲は「作ること」を通して上達するため、これは本来中心に据えるべき作業だといえます。
作る曲数の目標を立てる
さらには、作る曲数の目標を立てられるとより望ましく、例えば
- 月に1曲は絶対に作る
- 二週間をかけて1曲を作りきるようにする
など、ある程度自分の中に制限を設けると、テキパキと作業を進めていくことができるはずです。
7. 曲を作りきる
最後に挙げるのは「習慣」というよりも絶対条件のようなものだといえますが、
「曲を作りきる」
という点です。
既に述べた「作曲に関する何かをやる」という習慣によって中途半端なかけらばかりを作っていても作曲の経験値は積み上がっていかないため、なによりもこの「作りきる」という点を意識することが重要です。
作りきらない人は上手くならない
この点について、時どき、
「なぜ作りきることが大切なのですか?」
と尋ねられることがありますが、それはこれまでにいろいろな人を見てきて、曲を作りきらずに中途半端な状態で放り出している人ほど上達の速度が遅いということが明らかになっているからです。
その反対に、曲の質はさておき、曲を作りきる経験を積める人ほど順調に上達していくものです。
もちろん、メロディーを考えたり、コードをつなげる行為そのものを楽しんだり、それ自体に喜びを見出すこともできます。
「作曲を上達させて、より良い曲を生み出していく」という点を目的とする場合には、この「曲を作りきる」という点を特に重視することが大切です。
まとめ
以下は、ここまでに述べた「作曲が上手くなる習慣」のまとめです。
- 弾き語り
- 鼻歌を歌う
- 幅広く曲を聴く
- 気になるメロディやハーモニーをすぐに調べる
- 作曲関連の本を読む
- 作曲に関する何かをやる
- 曲を作りきる
これらを習慣にして、日々取り組むようにすると必然的に作曲は上達していくはずです。
もちろん「義務」のようなものとして嫌々やるのではなく、楽しみながら向き合う姿勢も必要です。
作曲活動の一環として、ぜひこれらを取り入れてみて下さい。
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