曲構成のパターン(曲形式)と、それらを意識した曲作りの方法

作曲の先生として活動している内山です。

こちらのページでは、曲を親しみやすいものにする「曲構成」の概念やその代表的なパターンそれらを意識した曲作りの方法について解説していきます。

曲の構成と曲形式

他ページでも述べているように作曲とは「楽曲を作ること」であり、楽曲にはある程度の長さが必要です。

そのうえで、一般的にポップス・ロックなどのポピュラー音楽に分類される曲はクラシック音楽のように壮大なものではなく、みんなが手軽に聴けて、簡単に覚えられ気軽に歌える構成を持っています。

check
つまり、ポピュラー音楽の楽曲は比較的短く簡潔に、かつわかりやすいものにまとめられている、ということです。

曲を親しみやすいものにする構成のパターン

上記を踏まえ、曲をわかりやすく親しみやすいものにするのが「曲構成(曲形式)」の概念です。

これらは、曲が展開していくうえでの場面転換やその骨格みとなります。

曲構成は文章でいう「起承転結」のような働きを持ち、それによって曲からはストーリーが感じられ、リスナーへわかりやすさや感動を提供します

※関連ページ Aメロ・Bメロ・サビなどの意味と、それらを活用した「曲の形式」の例

曲構成や形式に関する解説は上記ページでも行っていますが、以下にポピュラー音楽でよく用いられるその代表的なものをまとめました。

「A→B」型

まず挙げられるのが、曲展開の中で主に「Aブロック」と「Bブロック」という二つの大きなまとまりがある「A→B」型の形式です。

下記は、「A→B型」の形式による曲構成のパターン例です。

「前奏」→「A」→「B」→「間奏」~
「前奏」→「A」→「B」→「A」→「間奏」~
「前奏」→「A」→「B」→「A」→「B」→「間奏」~
「A」と「B」の雰囲気を違うものにすることがほとんど

上記のように、「A」と「B」それぞれがどのようなタイミングで何回提示されるかにはいくつかのパターンがあります。

そのうえで、一般的に「A」と「B」それぞれは

  • 「陰と陽」「静と動」のように、お互いを相反するものにする
  • どちらかをより印象付けたいブロック(サビ)にする

などの観点から作り込まれます。

いずれにしても、多くの場合「A」と「B」の二つのブロックはそれぞれが違った雰囲気を持つものとして作られます。

互いを引き立てあう、またはどちらかに優劣をつける

前述した二つのパターンのうち、前者は「A」「B」それぞれを互いに引き立てあうように存在させることが多く、そのためにいろいろな手法がとられます。

check
具体的には、「A」「B」それぞれにおけるメロディの性質を全く違うものにしたり、扱うコードの種類を機能的な面から違ったものにする、などです。

また後者の場合には、二つのブロックに「サビのブロック(より目立たせるブロック)」と「サビではないブロック」、というような対比がつけられます。

サビとなるブロックは、

  • メロディ・コードの動きを多くする
  • 音使いを特徴的なものにする

などの観点から、より印象に残りやすいものとして作れられ、サビではないブロックではそれとは反対のことが行われます。

「A→B→C」型

ポップス・ロックの楽曲においてもう一つポピュラーなのが、曲の中に「Aブロック」「Bブロック」「Cブロック」という三つの大きなまとまりを設ける「A→B→C」型の形式です。

下記は「A→B→C」型の形式を持つ曲構成のパターン例です。

「前奏」→「A」→「B」→「C」→「間奏」~
「前奏」→「A」→「A」→「B」→「C」→「間奏」~
三つのブロックを経由してだんだん盛り上がっていく構成

この形式の場合、一般的にそれぞれのブロックは、

  • 導入部分にあたる「A」
  • 中間に位置して橋渡しの役割をする「B」
  • サビとして機能する「C」

という役割を持つことが多く、「Aブロック」から「Cブロック」に向けてだんだんと盛り上がっていくように作り込まれることがほとんどです。

この形式では、「A」は導入部であるがゆえに静かで動きの少ない性質になることが多く、また「B」は中間に位置するため、比較的自由なアプローチが許されます。

check
また「C(サビ)」には、「A→B」型の際と同じような印象付けるための配慮が必須となります。
リスナーを飽きさせないための配慮

あわせて、この「A→B→C」型は前述した「A→B」型に比べて展開が長いため、各ブロックの長さに気を配り、リスナーを飽きさせないように構成させていくことも求められます

導入部である「A」には「続きを聴いてみたい」と思わせるような特徴的なポイントを設けたり、「B」にはサビを期待させる準備部分が盛り込まれます。

「A→B→C」という三つのブロックをひとつのまとまり(ワンコーラス)と捉え、全体的なつながりのスムーズさや長さの印象などをコントロールすることもポイントとなります。

曲全体に渡る構成の概念

上記でご紹介した代表的な二つの形式を含め、通常それぞれのブロックは曲の中で数回提示されます。

一般的には「ワンコーラス目」「ツーコーラス目」などの概念から、前述した流れが数回繰り返され、それらはより大きな構成として作り込まれます。

また既に例として挙げているように、ほとんどの場合そこに「前奏」や「間奏」「後奏」がつけられ、それをもって一曲にまとめられていきます。

以下はフルコーラスの曲構成例です。

一曲の構成例(「A→B→C」型)
「前奏 → A → B → C → 間奏 → A → B → C → 間奏 → C → 後奏」
曲全体を短く簡潔にまとめ上げていくことを考えると、各ブロックは長くても15秒から30秒程度となり、そこから曲の中に配置できるブロックの要素に限りがあることがわかります。

曲形式や構成を意識した曲作りについて

作曲においてあるひとつのメロディやコードなどを展開させていく際には、前述した曲形式や構成の概念をもとに、

どの形式/構成を前提として、どのブロックにあたる部分を作っていくか

をおおまかに考えながら作業を進めていくと、やるべきことが明確になっていきます。

曲形式を意識した作曲の手順例

以下は、曲形式を意識した作曲の手順例です。

  1. コードの響きをもとにメロディを考える
  2. 作っていく曲の形式をある程度決める(例:「このメロディを使って『A→B→C』型の曲を作ろう」)
  3. そのうえで、「A」「B」「C」のうちどのブロックを作っていくのか、を考える

この例のように、思いついたメロディをもとに「『A→B→C』型の曲を作る」と決めた場合、

  • それらはどのような雰囲気を持ったものなのか
  • 作っているメロディは「Aブロック」「Bブロック」「Cブロック」のうちどの部分にあたるものとしてまとめていくのか

などを考えていくことができます。

例えば導入部分にあたる落ち着いた「Aブロック」を想定した場合には、そこにサビほどのインパクトは必要ないため、聴きやすさを優先するような意識が必要となるはずです。

そこから、メロディには「落ち着いた雰囲気が感じられるものにする」という方針が盛り込まれ、

  • 音を伸ばすような音符の使い方をしてみよう
  • ところどころにメロディが切れる「空白」の部分を盛り込んでみよう

などの作り方が検討できるはずです。

check
またコード進行は、「コードチェンジを頻繁に行わず、静かな印象を与える」、というような方針によって作り込むことができます。

ブロックが少ない方が作り込みが簡単

作曲に慣れていない段階では意図する通りのメロディやコード進行を自在に作りこむことが難しいため、まずは「A→B」型などの、ブロックの数が少ない形式を選ぶと作業が進めやすいでしょう

その際、「A」「B」のどちらかをサビとするのではなく、それぞれのブロックが互いを引き立てあうような構成にしていくと、より自由な発想で取り組んでいけるはずです。

方針の立て方や手順については、既に述べた内容をそのまま流用できるはずです。

まとめ

ここまで、「曲構成」の概念やその代表的なパターン、それらを意識した曲作りの方法について解説してみました。

曲を印象付け、かつ親しみやすいものだと感じてもらうためには、このような構成に対する意識が欠かせません。

メロディとコードをただやみくもに展開させていくのではなく、これらの概念を活用しながら作曲者の意図をそこに盛り込んでいけるとより理想的でしょう。

曲構成の心地良さは、そのまま場面転換=曲の聴きごたえにつながっていきます。

作曲が上達する「曲分析」について知る

「曲分析マニュアル」のご紹介