一曲を仕上げるにあたり、イントロ(前奏)の作り方に頭を悩ませている方は多いはずです。
こちらではそんなイントロの詳細について、ビートルズの曲を例に挙げながら、パターン別に分けて詳しく解説していきます。
是非、魅力的なイントロ作りの参考にしてみてください。
目次
はじめに
一般的な楽曲は
- Aメロ→Bメロ→サビ
- Aメロ→Bメロ→Aメロ
のようにブロックがつながり、展開していくことで成り立っています。
こちらで取り上げている「イントロ」も同じで、つまりイントロを
曲展開を形成するブロック(まとまり)のひとつ
として捉えれば、そこでやるべきことがおのずと見えてきます。
その後の展開を見極めたり、曲全体としてどんな雰囲気を生み出したいかという点を考慮することが、まずイントロ作りの前提として求められます。
イントロとはどのようなものか
ここで、そもそもイントロとはどのような働きを持つものか、ということを一度整理しておきましょう。
リスナーはイントロを聴いて曲調を把握する
イントロはその名の通り「曲の導入部分」であり、リスナーは曲を聴き始める時まず初めにイントロに接することになります。
リスナーはイントロがどのような雰囲気を持っているかによって、その後の曲調を予想したリ、続きを聴いてみたいかどうかを潜在的に判断します。
そのような意味から、例えば明るくて元気な雰囲気をリスナーに印象付けたければ、イントロもそのように作り込むことが必要となる、といえます。
イントロは曲に向き合う部分
またお伝えした通りイントロは「導入部」としての働きを持つため、リスナーが曲に対してスムーズに向き合えるように配慮して作り込むことも求められます。
この場合には音数を減らしたり、リズムを緩やかにしたりすることが一般的です。
静かな雰囲気が感じられるイントロが多いのは、このような理由がもとになっているといえるでしょう。
通常のブロックとは明らかに違うものにする
例えば、もしイントロに歌メロディがあってそこにしっかりとした歌詞が付いていたら、リスナーはそれをイントロだとは捉えないはずです。
イントロは伴奏のみとするか、または歌メロディがあっても「ラララ〜」のような意味を持たないものや、短いフレーズを繰り返すようなもの(リフレイン)、コーラスのような性格を持つものとして作り込むべきです。
実践的なイントロアイディア
ここからは、冒頭でお伝えした通りビートルズの曲を例に挙げながら、実践的なイントロのアイディアについてご紹介していきます。
1. サビや他ブロックのメロディ・コード等を流用する
「曲の雰囲気をリスナーに印象付ける」ということを優先する場合には、イントロにその曲を象徴するブロックの構成をそのまま流用するやり方が考えられます。
多くのポップス・ロックにおいてその曲を象徴するブロックはサビとなりますが、そのような意味からサビのコード進行やメロディをイントロとして活用してみると意図した効果が期待できるはずです。
またそれ以外にも、作曲者として特定のブロックやメロディに思い入れがある場合にはそれらを流用することもできるでしょう。
サンプル曲(1)「Let It Be」
曲の顔にもなっているAメロのコード進行を流用する形でイントロとしています。
ピアノの規則正しいバッキングが、その後の曲調を予感させるような雰囲気を持っています。
サンプル曲(2)「Please Please Me」
Aメロ冒頭の歌メロディをそのままハーモニカのフレーズに置き換えてイントロにしています。
この例のように、曲中に登場するメロディを楽器に置き換えてイントロとしているパターンは多く存在します。
サンプル曲(3)「Norwegian Wood」
こちらも、Aメロの歌メロディがギターのフレーズになっているイントロの例です。
全体のアレンジはやや控え目にして、導入部としての落ち着いた雰囲気にも配慮しています。
2. 独立したひとつのブロックとして作り込む
イントロを新たなひとつのブロックとして作り込むことも考えられます。
この場合の作り方に正解はなく、ブロックとは呼べないような短いイントロや、その後の曲調とは全く違った雰囲気を持つイントロなど、既存の曲にも多くのパターンが存在します。
イントロの次に配置されているブロックと違った雰囲気を提示したい場合には、扱うコードの種類や数・ひとつのコードあたりの拍数、またメロディの持つリズム・音階などを意識的にそれらとは違ったものにするべきでしょう。
また、前述の「サビや他ブロックのメロディ・コード等を流用する」につながる概念として、「Aメロに似た雰囲気のあるイントロ」「サビに似た雰囲気のあるイントロ」ということを意図して、それらのコード進行や特定の要素だけを活用しイントロを新たに作り出すやり方も想定できます。
どちらにしても、印象深いイントロにするためには通常のAメロ・サビなどを作るのと同じようにメロディやコードをしっかりと検討することが求められます。
サンプル曲(1)「Strawberry Fields Forever」
イントロとして独立した部分が作り出されている例です。
「メロトロン」という特殊な楽器を使うことで個性的なサウンドを作り上げています。
サンプル曲(2)「Yesterday」※Aメロの雰囲気の流用
Aメロのアコースティックギターの雰囲気だけを流用して、ワンコードのみのイントロとしています。
この例のように、その後のブロックの雰囲気を活用しながらもコードの展開を少なくして短いイントロとするケースも多いです。
サンプル曲(3)「While My Guitar Gently Weeps」※Aメロのコードのみを流用
この曲ではAメロのコード進行のみを活用し、その上でピアノの印象的なイントロフレーズを作り上げています。
独立したイントロの雰囲気を出しつつ、Aメロのコードが活用されていることで統一感も生まれています。
3. 静かな雰囲気に作り込む
曲の導入部にあたるイントロを静かな雰囲気が感じられるブロックとして作り込む、というアイディアも頻繁に耳にすることができます。
この場合には、既にお伝えした通り音数を意図的に減らしたり、リズム的なアクセントが少なくなるように作り込むと効果的でしょう。
バラード曲などにおいては、曲の冒頭ブロックにあたるAメロは静かな雰囲気に作り込まれることが多いため、それに近い性格を持ったイントロを曲の最初に配置することで効果的にAメロにつなげることができるはずです。
サンプル曲(1)「Lucy In The Sky With Diamonds」
アルペジオ風の落ち着いたフレーズがイントロになっている例です。
曲がバラード調であるため、そこから無理なくAメロにつながっていることがわかります。
サンプル曲(2)「Don’t Let Me Down」
この曲ではギターのバッキング風リフが短いイントロになっています。
ギターを弾きすぎずに簡素なフレーズとしているところがポイントです。
4. イントロを無くしてしまう
この記事のテーマとは少しずれますが、そもそもイントロを持たない曲も多く存在します。
イントロが無いということは曲がいきなり歌メロディから始まることを意味しますが、そのような構成はリスナーにインパクトを与えます。
明確な意図が無く適当にイントロを作っているような場合には、思い切ってイントロそのものを無くしてしまうということも検討してみてください。
サンプル曲(1)「Help!」
ビートルズの曲にはイントロが無いものが多く存在しますが、その代表ともいえるのがこちらの曲です。
タイトルにもなっている「Help!」というフレーズから曲が始まることでリスナーに大きなインパクトを与えます。
サンプル曲(2)「Can’t Buy Me Love」
こちらもイントロが無い曲として有名です。
同じくタイトルのフレーズから曲が始まる形となっています。
まとめ
ここまで、イントロの作り方について解説してきました。
改めて整理してみると、本当にさまざまなアプローチによってイントロが作られていることがわかります。
上記を参考にしつつ、是非自由な発想で色々なイントロを作ってみて下さい。
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