こちらでは、作曲をするにあたって何かと話題に上がりがちな「理論は必要なのか?」ということについて考えていきます。
結論から言えば、「作曲は理論を知らなくてもできる、けれど理論を知っていると作業が楽になり早くなる」となります。
このことについて以下に詳しく解説していきますので、作曲をやるためにこれから音楽理論を勉強していきたいという方も現在音楽理論を勉強中の方も、是非参考にしてみて下さい。
「音楽理論」があると感性が束縛される?
理論を重視しすぎると本末転倒
ひとえに「音楽理論」と言ってもそのジャンルは様々ですが、ポピュラー音楽において音楽理論は主にコードやスケールの概念を指します。
「作曲に音楽理論は必要ない」という人たちは、音楽理論に対して「感性が束縛される」とか「理論は結局後付けだ」と言います。
「理論を学ぶくらいなら曲を作った方がいい」ということですが、これには一理あります。
特に初心者の方に多いのが、「まずは座学だ」ということで、学習的な目線で理論を学ぼうとしてしまうことです。
「作曲の時の決まりごと」としてまず音楽理論をしっかりと把握しようとします。
そのうえで、それを守って作曲をしようとするのです。
これは、知識を入れ過ぎて実体験が伴っていない典型的な例です。
では「やっぱり作曲に音楽理論は必要ないのか?」と言われると、決してそうではありません。
やっぱり理論は必要
この「作曲に理論は必要か否か」という論争の答えは、つまるところ「作曲に音楽理論は必要である」となります。
そこには「効率や作品の質を重視するならば」という言葉が付け足されます。
作曲は、理論を知らなくてもできてしまうものです。
私自身、作曲をやり始めたばかりの頃は理論という言葉すら知らない中で一人で好き勝手にやっていただけでした。
それでも、その間に何十曲も作りましたし、みんなが「良い曲だね」と言ってくれる曲もいくつも作りました。
ただ、初心者が作曲のすべてを手探りで進めて、それを何年も継続させるにはそれ相応の根気が必要です。
それを楽にして、最小限の力で水準以上の成果を出すために活用できるのが音楽理論、ということです。
知っていると作曲が楽になる
理論は「道しるべ」
音楽理論とは「作曲をやりやすくするツール」のようなものです。
言い方を変えれば、「『そのルールに沿えば曲がまとまりやすい』という道しるべ」のようなものとも言えます。
理論的な解釈で作曲をすれば簡単に曲を組み立てられますし、曲が入り組んでしまっても進むべき方向を見失わずに済みます。
これは、全くの手探りでやる作曲に比べて作業をスムーズに進めるという意味で大きな助けになります。
またいつでも一定の結果を出せることにもつながるため、「楽に作曲したい」「常に水準以上の結果を出したい」と考えるのであれば少なからず理論は学ぶべきです。
いつでも感性を優先する
ただ、「作曲をやりやすくする」ということと「良い曲を作れる」ということは別の問題です。
ツールはあくまでもツールでしかないのです。
だから思いついたアイディアがセオリーから外れていたとしても、自分が本当に良いと思うのなら積極的にそのアイディアを優先すべきです。
音楽理論は「決まりとしてはそうなっている」というだけのことで、その通りにやらなければいけないものではないのです。
どんな時でも、まずは自分自身の「こうしたい」を大切にするべきです。
作曲をしながら徐々に理論を覚える
作曲初心者の段階においては、超基礎的な音楽理論を軽く覚えるだけにすることをお勧めしています。
その上で、まずは作曲をやってみるのです。
自分のひらめきを大切にしながら(少しだけ理論も考慮しつつ)実際に曲作りを体験していくと、超基礎的な知識として最初に覚えた理論の効果が体感できます。
そのうえで、作曲の実体験としてうまくできないところを知ったり、新たな理論を活用できる余力が生れますので、そのうえでさらに一歩進んだ知識を学ぶようにします。
そうやって作曲の幅を広げながら同時に理論も徐々に覚えていく、という手順を踏むことで、無理なくかつ理論のありがたさも体感しながら知識を深めていくことができます。
覚えた理論は使わなくてもいいし、時としてそれをあえて裏切ってもいいのです。
そんな「便利なツール」というような感覚で、気楽に音楽理論と付き合っていけると理想的です。
まとめ
ここまで「作曲に理論は必要か?」ということを考えてきました。
まとめれば、ポップス・ロックの作曲において「理論を知っている」ということは、「理論を知らずに好き勝手やる」か「理論を知っていながら好き勝手やる」かの違いとも言えます。
どちらがより安定して良い曲を生み出せるかは言うまでもないもので、特に継続して水準以上の作品を生み出すために理論的な知識は必須となります。
上記を参考に、まずは基礎的な理論だけを簡単に学んで、実際の作曲を通して徐々にその理解を深めていってください。
補足
※音楽理論学習に際して「何をどの順番で、どこまで学べばいいか?」について解説した以下の記事も是非参考にしてみてください。
音楽理論を知りたい人のための「学習の見取り図」※独学に活用できる「音楽理論の何をどの順番で学べばいいか」のまとめ
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