サブドミナントマイナー(コード) その概要と使い方

こちらでは、コードの一種である「サブドミナントマイナー(コード)」について、詳しい解説と使い方をご紹介します。

「サブドミナントマイナー(コード)」の概要

「サブドミナントマイナー」とは、

メジャーダイアトニックコードにおける四番目のコード(IV)をマイナーコードにしたもの

あるいは、

マイナーダイアトニックコードにおける「IVm」

を指す音楽用語です。

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以下にその例として、「Cメジャーダイアトニックコード」の7個のコードを示します。

Cメジャーダイアトニックコード

C,Dm,Em,F,G,Am,Bm-5

(I,IIm,IIIm,IV,V,VIm,VIIm-5)

この一覧でいう「F」が「四番目のコード(IV)」で、これをマイナーコードにした「Fm(IVm)」が「サブドミナントマイナー」にあたります。

また別の見方として、以下に「Cマイナーダイアトニックコード」の7個のコードも示します。

Cマイナーダイアトニックコード

Cm,Dm-5,E♭,Fm,Gm,A♭,B♭

(Im,IIm-5,♭IIIm,IVm,Vm,♭VI,♭VII)

上記の「Cマイナーダイアトニックコード」では、四番目のコードが「Fm(IVm)」となっていますが、このコードが本来の「サブドミナントマイナー」に相当するものです。

主にメジャーキーにおいて使われる呼び名

前述した通り、メジャーダイアトニックコードにおける四番目のコードは本来メジャーコード(IV)です。

それを前提としつつ、上記の「Cメジャー」と「Cマイナー」の関係のように、あるメジャーキーにおいて、同主調のマイナーキーから「IVm」を借用して使うことで特徴的なサウンドを盛り込むことができるため、「サブドミナントマイナー」という呼び名は、

メジャーキーにおける本来のサブドミナントが「IV(=メジャーコード)」であるところ、それが「IVm=マイナーコード」になる

という点を強調する意味合いを持つことが多いです。

つまり、「サブドミナントマイナー」という呼び名は「メジャーキーにおける特徴的なコードとしての『IVm』」に対して使われることが多い、ということです。

「サブドミナントマイナー」の使用方法

通常の「IV」の代りに使用する

既に述べたように、サブドミナントマイナー「IVm」はメジャーキーにおける特徴的なコードとして扱われます。

その名の通り、メジャーダイアトニックコードの「IV」と同じく「サブドミナント」の役割を持つため、「IV」を「IVm」に置き換えるように活用されることが多く、例えば「キー=Cメジャー」において

C→F(I→IV)

というコード進行が、

C→Fm(I→IVm)

のようにアレンジされたりします。

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この例のように、前後の関係を考慮せず「IV」を「IVm」へ直接的に置き換える形でサブドミナントマイナーを使用することができます。

また上記のようなサブドミナントマイナー単体での利用以外にも、その直前に「IV」を配置して「IV→IVm」というコードの変化をあえて聴かせる構成もよく見かけられます(以下例)。

C→F→Fm→G→C
(I→IV→IVm→V→I)

この場合、直前で「F(IV)」が鳴ることで「Fm(IVm)」への変化がよりはっきりと感じられます

「7」や「6」によるアレンジ

上記「IVm」以外に、そこから派生したコードとして「IVm7」「IVm6」なども同様にサブドミナントマイナーとして広く利用されています(以下例)。

C→F→Fm6→G→C
(I→IV→IVm6→V→I)

「IVm7」や「IVm6」は三和音である「IVm」に比べて構成音が多く響きが豊かであるため、これらのコードを盛り込むことで、その特徴的なサウンドをより多彩な雰囲気を持ったものとして演出することができます。

サブドミナントマイナーの終止への活用

展開したコード進行がトニック(I)へ回帰することを「終止」などと呼びますが、サブドミナントマイナーはこの終止部分に活用されることもあります。

以下は、一般的なドミナントコード(V)を活用した終止と、それをサブドミナントマイナーによってアレンジしたものの比較です。

ドミナントコード活用

F→G→C
(IV→V→I)

サブドミナントマイナー活用

F→Fm→C
(IV→IVm→I)

上記例において「G→C」が「Fm→C」にアレンジされているように、サブドミナントマイナーから直接トニックへ向かうことで、その特徴的な響きをより際立てることができます。

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ダイアトニックコードに含まれないコードの多くは、その特徴的なサウンドを際立てる意図から使いどころが絞られます。そのような観点から、サブドミナントマイナーはこの例のように終止部分のみに活用されることも多いです。

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サブドミナントマイナーの代理コード

「IVm」系以外にもあるサブドミナントマイナー

「IVm」と似た響きを持ったコードも同様に「サブドミナントマイナー」にあたるコードとして活用されます。

なかでも、「IV」の代理コードにあたる「IIm」を活用した「IIm7-5」はその代表的なものです。

以下は、既にご紹介した「サブドミナントマイナーを活用した構成」と、それをさらに「IIm7-5」によって置き換えた構成の比較です。

サブドミナントマイナー活用

C→Fm→G→C
(I→IVm→V→I)

代理コード活用

C→Dm7-5→G→C
(I→IIm7-5→V→I)

「IVm」に比べてコードの構成音がより複雑になることで、さらに特徴的なサウンドが生まれます。

その他の代理コード

上記以外にも、サブドミナントマイナーの代理コードとして以下のようなコードが活用されます。

「Fm(IVm)」代理コードの例
  • D♭M7(♭IIM7)
  • A♭7(♭VI7)
  • A♭6(♭VI6)
  • B♭7(♭VII7)

曲調やメロディラインなどを考慮するにあたり、「IVm」のアレンジとしてこれらの代理コードを覚えておくと重宝します。

まとめ

以下は、「サブドミナントマイナー(コード)」についてのまとめです。

  • サブドミナントマイナーはマイナーダイアトニックコードにおける「IVm」。メジャーダイアトニックコード内の四番目のコード(IV)をマイナーにすることでも割り出すことができる。
  • 「メジャーキーにおける特徴的なコードとしての『IVm』」に対して、この呼び名が使われることが多い
  • 「サブドミナント」としての機能は維持されるため、メジャーキーにおける「IV」を「IVm」に置き換える形で使用することができる
  • さまざまな代理コードがあり、中でも「IIm7-5」はその代表的なもの

既に述べた通り、メジャーキーにおける「IVm」は特徴的なサウンドを生み出すため、コード進行のアクセントとして活躍してくれます。

コードの展開を個性的なものにするうえで、ぜひ使用を検討してみて下さい。

そのサウンドを際立たせるために、使いどころを絞るのがコツです。

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