作曲のコツ|メロディに使われる音符の種類に気を配りリズム的印象を操作する

こちらのページでは、作曲においてメロディが持つ音符の種類に気を配ることの重要性について解説していきます。

メロディの印象を左右する大切なアイディアですので、是非参考にしてみて下さい。

音符の種類によるメロディから受ける印象の違い

メロディには音の高低を表す「音階」と共に、リズムを表す「音符の種類」という側面があります。

これは簡単に言えばメロディを「ター」と伸ばすか「タタタ」と刻むか、というようなことで、それにはメロディに使われている音符の種類が大きく関係しています。

短い音符を使用したメロディの例

音の長さのことを「音価(おんか)」と呼びますが、メロディに音価の短い音符を使用するほどそれらはせわしないものに感じられます。

下記は、童謡「いぬのおまわりさん」の冒頭部分を楽譜に表したものです。

上記を見てわかる通りこの部分には8分音符が多く使用されており、見た目にも沢山音符が敷き詰められているように感じられます。

メロディを実際に耳で確認してみると畳みかけるように音が鳴っており、そこからはにぎやかな雰囲気が感じられます。

長い音符を使用したメロディの例

上記とは反対に、音価の長い音符を使用するほどメロディはゆったりしたものに感じられます。

同じく「いぬのおまわりさん」のBメロ部分にあたるメロディを楽譜に表したものが下記の図です。

こちらのブロックでは冒頭部分と違って付点4分音符と4分音符が使用されており、全体的にやや音符の数が減っています

聴覚上でもややメロディはゆったりしたものに感じられます。

音符が短くなるとアクセントが増える

上記二つの例からもわかるとおり、どのような種類の音符を使用するかによってメロディ全体がもつリズム的な印象は変わります

短い音符を多用するほど音が増えるため、メロディのアクセントが増えメロディは活き活きしたものになります。

また、長い音符を多用するほどアクセントが減るためメロディはどっしりしたものに感じられます。

「音符の長さ」という概念を曲構成に活用する

上記をもとに、メロディの中で使用する音符の種類を意図的に操り、そこから感じられる雰囲気を操作することができるようになります。

メロディの持つ雰囲気を音符の長さで演出する

例えば、「サビをどっしりと威厳のある雰囲気にしたい」という希望がある場合、そこでは音価の長い音符を活用することが想定できます。

2分音符や付点の音符などを活用して、伸びやかなメロディを多く盛り込むほど落ち着いた雰囲気が演出できるはずです。

またその反面で、曲の導入部などでにぎやかな雰囲気を出したい場合には、意識的に短い音符を多用することが検討できるでしょう。

上記の例にもあったように、8分音符などの細かい音符を沢山敷き詰める程リズムに乗りが生まれてせわしないメロディだと感じられるようになります。

ブロックごとの差別化に音符の長さを活用する

また、これらの概念はブロックごとを差別化する際にも活用できます

前述の例にあったように「いぬのおまわりさん」では冒頭のブロックで短い音符、その後のブロックで長めの音符が使われていました。

ブロックの展開に合わせてメロディが持つリズム的特徴が変えられていることで、リスナーは場面転換を明確に感じることができています

例えばこれが、どちらのブロックでも同じような長さの音符によって構成されていたとしたら、リスナーはここまではっきりと場面転換を感じることができないはずです。

音符の種類に気を配る曲作りの手順

曲作りを進めていく中ではこの「音符の種類」という点に気を配り作業を進めていくことが大切です。

具体的には、あるブロックを作り終えて次なるブロックを作り始める時などに「リスナーに場面転換を感じさせるかどうか」を検討し、それをする場合には次なるブロックではメロディに使用する音符の種類を意図的に変えるのです。

下記はその作業手順の例です。

  1. Aメロを作り終え、Bメロ作成に取り掛かる
  2. Bメロでは場面転換を明確に提示するか?を検討する
  3. →例:場面転換を明確に提示すると決める

  4. Aメロのメロディで主に使われている音符の種類を確認する
  5. →例:Aメロは2分音符が多くメロディがゆったりしている

  6. Bメロでは意識的に短い音符を使用して活気のある雰囲気を演出する
  7. →例:Bメロには8分音符を多用して畳みかけるようなメロディを盛り込む

次なるブロックのメロディを作り始める時、上記例のようにしっかりと方向性を明確にして、それに沿って作業を進めていくことが曲をメリハリのあるもの仕上げていくためのポイントです。

同じように、既に作り終えた曲でもブロックごとの印象が薄い場合には、これを逆算するような手順で音符の種類について検討することができます。

まとめ

ここまで、メロディに使われる音符の種類とそれが生み出す印象、曲構成への活用方法などについて解説しました。

なにかと音の高低ばかりに着目しがちなメロディですが、リズム的な要素はそのメロディを印象付けるうえで思いのほか大きな割合を占めています

メロディから感じられる印象を意図的に操るために、是非音符の種類に気を配りながら曲作りに取り組んでみて下さい。

良い曲は「音符の種類」のバランスも良いです。

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