Aメロに使えるコード進行|曲の始め方が思いつかないときのヒントとなるコードの流れ

Aメロは文字通り曲展開の冒頭となるブロックですが、この部分のコード進行に頭を悩ませている人は案外多いものです。

何か良いコードの始め方ないかな~

と考え込んでいる方に向けて、こちらのページではそんな「Aメロに使えるコード進行」をいくつかご紹介していきます。

※コード進行のキーは「C」に統一してご紹介します。

Aメロのコード進行を考える際の前提

そもそもAメロは曲の導入部分であるため、そこには一般的に以下のような性質が求められます。

  • リスナーがすんなりと曲に向き合えるムーズな展開の変化
  • リスナーが落ち着いて曲に向き合える安定感のある響き
  • リスナーが「次を聴いてみたい」と感じる「つかみ」(個性)

コード進行を考える際にも、これらを元にして

  • スムーズなコードの変化
  • 安定感のあるコードの響き
  • 「つかみ」となるコード展開

などを盛り込んでいくと、それがAメロに最適なものなっていきます。

カノン進行風のコード進行

まず初めにご紹介できるのが「カノン進行」をベースとしたコードの流れです。

※関連ページ
「カノン進行」によるコードのつなげ方と例|定番のコード進行とそのアレンジについて

カノン進行について詳しくは上記ページでもご紹介していますが、それを具体的にコード進行で表すと以下のような流れとなります。

C→G→Am→Em→F→C→F→G

このコード進行の詳しい解説は前述のページに譲るとして、スムーズなつながりが感じられるこのコードの流れは、曲の導入部分となるAメロのコード進行としてもぴったりです。

カノン進行のアレンジ型:分数コード(オンコード)でベースを際立たせる

カノン進行の特徴の一つともいえる「構成音の順次進行的な変化」を、分数コード(オンコード)でベース音に置き換えてアレンジすることもできます。

以下はその例です。

C→Em7onB→Am→Am7onG

※関連ページ
分数コード(オンコード、スラッシュコード)の使い方や成り立ちなどについて

この「キー=C」でいう「ド→シ→ラ→ソ」という音の変化をそのままベース音にして、「C→B→A→G」という流れを生んでいます。

これによってそのラインがより際立ち、本来のカノン進行が持つスムーズな音のつながりをより強調させることができます

カノン進行のアレンジ型:セカンダリードミナントコードの活用

カノン進行をセカンダリードミナントコードによってアレンジし、コードのつながりを強めることもできます(以下例)。

C→E7→Am→G

※関連ページ
セカンダリードミナントコード|成り立ちとその表記などをわかりやすく解説

こちらの例では、元のカノン進行において

Em→Am

となっていた部分を

E7→Am

に変形させ、ドミナントモーションの流れを生んでいます。

これによって

  • 「E7」というダイアトニックコード以外の響き
  • 「Am」へより強く結びつくコードの流れ

の二つをコード進行に盛り込むことができて、カノン進行の持つスムーズなコードのつながりに少し個性的な雰囲気を加えることができます。

冒頭で述べたように、Aメロにはリスナーに「次を聴いてみたい」と感じさせる「つかみ」を盛り込むことも重要となりますが、このコード進行はそのような効果も期待できます。

カノン進行のアレンジ型:クリシェへの発展

また、前述した「分数コード」の発展形でご紹介した構成音の流れを、そのままクリシェの構成に置き換えてアレンジすること(以下例)も検討できます。

C→CM7→C7→C6

※関連ページ
クリシェ(1)概要・特徴的なコード進行を作るための典型的な使用例

そもそもクリシェの元となるのは、

「ベース音を変えずに構成音の1度または5度を上下させる」

という発想であり、ここで例として挙げている「キー=C」のカノン進行にあった「ド→シ→ラ→ソ」の流れは、同じく1度(ドの音)をスケールに沿って下げている状態です。

そのため、上記でご紹介しているクリシェの構成とすることでも、同じくそれを満たすことができます。

ここまで来るともはや「カノン進行のアレンジ」とは言い難くなってくるかもしれませんが、それでも「構成音の順次進行的な変化」という意味で、カノン進行をきっかけとして発想をこのクリシェの構成に広げることができるはずです

コード進行の変化を穏やかにする

前述した通り、Aメロは曲の導入部分となるブロックであるため、コード進行を「静かな雰囲気を持つもの」として提示することも検討できます。

具体的には

  • コードを頻繁に変えない
  • ベース音を動かさない

などのアイディアがそれにあたります。

特にコード進行の持つベース音の変化は動きを感じさせる元となるため、コードそのものや、またはコードを変えたとしても分数コードを活用してベース音を変えないようにすることで、穏やかな雰囲気を演出することができるのです。

穏やかな雰囲気を持ったコード進行:コードを繰り返す(2個)

まずとてもシンプルな例ですが、コードを二つ程度に絞り、それをゆったりと繰り返すやり方(以下例)が検討できます。

C→F→C→F

ここでは、ダイアトニックコード内の「I(C)」と「IV(F)」を交互に繰り返しています。

ここでポイントなるのは「I→IV」という構成で、これは「強進行」と呼ばれるコードの流れです。

※関連ページ
強進行について(通称「4度進行」=ドミナントモーションの元になる力強い音の動き)

そもそも強進行はコード同士を強く結び付けたり、コード進行に説得力を与えるものです。

コードのつながりをこの形に作り込むことで、何気ない構成の中に強いコードの動きが生まれ、コード進行をよりドラマチックなものとして演出することができます。

反面で、例えばこの二つのコードを

C→Am→C→Am

のようにすることでコード進行の流れは「I→VIm(C→Am)」となるため、そこには強進行のつながりもなくなり、より穏やかな雰囲気を生み出すことができます。

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同じくトニックの連続となる「C→Em→C→Em…」等の構成も検討できますが、ここに含まれる「Em→C(III→I)」という流れはあまり好ましくないものとされています。

コードチェンジに配慮する

また、「静かなコード進行」を考えるうえではコードチェンジのタイミングにも配慮すべきです。

例えば、前述したコードの流れを

C(2拍)→F(2拍)→…

のように作り込むと、コードの切り替わりが頻繁になり穏やかな雰囲気は薄れてしまいます

そのため、一つのコードをより長く鳴らすことを目的として

C(8拍)→F(8拍)→…

のように作り込むことで、コードの変化が緩やかになって導入部分らしい静かな雰囲気を演出することができます。

このように、Aメロのコード進行を考えるうえではコード進行そのものと共に「そのコード進行をどう聴かせるか」という観点を持つことも重要です。

穏やかな雰囲気を持ったコード進行:コードを繰り返す(3~4個)

「穏やか」「静か」を演出するため繰り返すコードの種類を単調にすることが鍵となりますが、例えば前述した2個のコードを3~4個程度に増やすことも十分許容できます。

以下はその例です。

C→Am→Dm→G
F→Em→Am

上記のうち、前者は「循環コード」と呼ばれる構成で、これはその名の通り「繰り返し」を考えるうえで最適です。

※関連ページ
循環コード(その詳細と成り立ち・派生形や「逆循環コード」についての解説など)

また、後者はあえてコード進行をIV(F)からスタートさせていますが、このような構成も繰り返しにはよく似合います。

どちらも前述した「一つのコードをより長く鳴らす」という発想を元にどっしりした雰囲気が生まれるよう作り込むと、よりAメロに合ったコード進行になっていくはずです。

穏やかな雰囲気を持ったコード進行:ベース音を保持する

「穏やか」を考えるうえで、もう一つのアイディアとなるのが「ベースを動かさない」というやり方です。

これには「カノン進行」の部分でご紹介した分数コードが活用できます。

以下はその例です。

C→DmonC→GonC→C

この例では、コード進行の出発点となっている「C」のコードのルートをそのまま保持し、「〇onC」の形にしています。

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このような構成(手法)は、音楽用語で「ペダルポイント」などと呼ばれています。

これによって、本来であれば

C(ド)→Dm(レ)→G(ソ)→C(ド)

と動くベースラインが

C(ド)→DmonC(ド)→GonC(ド)→C(ド)

と動かないことになり、そこから落ち着いた雰囲気が生まれています。

この構成が面白いのは、ベース音以外がきちんと変化しているところで、

  • コード進行が変化していく華やかさ=聴きごたえ
  • ベースが変化しない落ち着き=安定感、聴きやすさ

の双方を共存させることができています。

このように「聴きごたえ」と「聴きやすさ」の両方を満たす、個性的な構成だといえるでしょう。

クリシェの構成もベース音が保持される

前述したクリシェの構成も、「ベース音を変化させない」という点では同じです。

既にご紹介した

C→CM7→C7→C6

以外にも、例えば

C→Caug→C6→C7

や、サブドミナント系のコードによる

Dm→DmM7→Dm7→Dm6

などによっても変化しないベース(=穏やかな雰囲気)を演出できます。

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これを踏まえると、「C→CM7→C7→C6」という流れはカノン進行的スムーズさと、ベースが動かない穏やかさの両方を兼ね備えたコード進行といえます。

いろいろなコード進行がAメロに使える

実際のところ、上記でご紹介したコード進行が「Aメロ専用」ということはなく、それらは例えばBメロにもサビにも活用できます。

同じ意味から、サビで活用されているコード進行をAメロに使うこともできるなど、本来コード進行はアイディア次第でどんなブロックにも使えるものです

以下のページではさまざまな種類のコード進行をご紹介していますので、これらを実際に音として鳴らしながら、Aメロに活用できそうなものが無いか確認してみて下さい。

コード進行パターン集(1)全20パターン シンプル構成からロック・ボサノバ風まで コード進行パターン集(2)全20パターン ビートルズ風コード、ブルース風コードなど コード進行パターン集(3)全20パターン ルート音の変化、テンションや分数コードによるジャズ風アプローチなど コード進行パターン集(4)全20パターン マイナー系コード進行やAOR風のサウンドなど コード進行パターン集(5)全20パターン クリシェラインのベース活用、ツーコードのシンプル構成など コード進行パターン集(6)全20パターン ディミニッシュコードやペダルポイントを活用した上級アプローチ

まとめ

ここまでAメロに使えるコード進行について、解説してきました。

ここまでにご紹介した内容をまとめると、以下のようになります。

  • カノン進行等によってスムーズなコードの流れを演出する
  • コードを頻繁に変えずに穏やかな雰囲気を演出する
  • ベースを動かさずに穏やかな雰囲気を演出する
  • 特徴的な構成によって「つかみ」を設けられると理想的

ポイントとなるのは「Aメロ=導入部分のブロック」という点です。

これを踏まえ、リスナーに聴きやすさや「その後を聴いてみたい」と感じさせるような雰囲気を提示できるよう、コードを作り込んでみて下さい。

まずは、静かな雰囲気にすることで手軽にAメロらしさを演出できるはずです。