作曲を続けるうえではなるべく無駄を省き、最短距離での上達を目指したいものです。
こちらのページでは「効率よく、しかも確実に作曲を上達させる」という点を踏まえて、作曲の勉強方法にも通じる
「作曲の上達に欠かせない5つの柱」
についてご紹介していきます。
目次
作曲上達のためのメカニズム
そもそも、作曲上達への道筋はひとつではありません。
そんな中で最も効率よく、最短期間で確実に上達できるやり方こそが、みなさんに一番喜ばれるものであるはずです。
私は16歳から作曲を始めて、これまで作曲に対して多くの時間を使ってきました。
そんな自分が、作曲に対して考え、悩み、時に遠回りをして学んだり、ここ数年は人に教えるということを通して割り出すことのできた「作曲上達への道筋」があります。
それこそが、冒頭でも述べた「作曲の上達に欠かせない5つの柱」という概念です。
ある方の実例
本サイト内の他記事でもご紹介しているとおり、ある方は私と知り合った頃にはまだ作曲をやったことがなくギターが少し弾ける程度でした。
彼は多くの初心者と同じように自分自身の曲作りに確信が持てず、思うように上達できないことで作曲に対して悩みを抱えていました。
そんな彼に前述した「5つの柱」を実践してもらったところ、徐々に自分の力だけで曲を生み出せるようになり、結果的には私でも驚くような良い曲を作れるようになっていったのです。
下記の画像は、彼の作った曲アイディアの音源ファイルをまとめたものです。
作曲について何もわからない状態だった彼が、ここまでたくさんの曲を作れるようになったことを思うと、感慨深いものがあります。
「作曲の上達に欠かせない5つの柱」の詳細
「5つの柱」の中身
ここまでお伝えしている「作曲の上達に欠かせない5つの柱」ですが、その中身は以下の通りです。
- 曲作りの実践
- 曲分析の実践
- 音楽理論の学習
- 作曲法の学習
- 曲を聴く
作曲を効率的に、かつ確実に上達させるためにはこれらのすべてにきちんと取り組むことが大切です。
また、より具体的に言えばこの5つの中で「曲作り」を大きな柱として、まずそれにしっかりと取り組み、残りの4つをそこに集約させるように実践しながらそのサイクルを回すように知識と技術を深めていきます。
これ以降は、5つそれぞれの詳細についてご紹介していきます。
「1. 曲作りの実践」について
まずひとつ目に挙げられるのが「曲作りの実践」です。
既に述べた通り、これはが作曲上達を目的とするうえで最も大切な取り組みだといえます。
ここで、
「その『曲作り』が上手くできないからこのページを読んでるんだけど…」
という声が聞こえてきそうですが、そういった気持ちもすごくよくわかります。
しかし、あらゆることがそうであるように、さまざまな活動はそれ自体に取り組むことによって上達していくものです。
これは、例えば各種スポーツや、語学、また仕事などに置き換えてみるとよく理解できます。実際にそれをやることで徐々に感覚をつかみ、次第に上手にこなせるようになっていきます。
作曲上達を目指すうえで、まずこの点をきちんと心に留めておいてください。
いきなり難しいことをやろうとしない
ポイントとなるのは
「慣れないうちは難しいことをやろうとしない」
という点です。
まずはシンプルな構成を持った短い曲を目指し、一曲を作り切ることを一番の目的としてください。
▼関連ページ 作曲初期は曲完成のハードルを下げよう
そのうえで、曲を作り終えることができたら完成した曲を振り返り、そこで何ができて何が出来なかったのかを明らかにすることも大切です。
そのような経験を何度も重ねていくことで、少しずつ確信を持って作曲を進めていくことができるようになっていきます。
さらには、「5つの柱」のうちの他4つすべてをこの「曲作りの実践」に集約させていくため、それらの習得が進むのにあわせて作曲の質は向上していきます。
「2. 曲分析の実践」について
「5つの柱」のふたつ目は「曲分析の実践」です。
この「曲分析」とは、簡単にいえば「曲を作曲的な観点から紐解く作業」を指しますが、これによって「『曲』とはどのようなものか?」が理解できるようになります。
曲の成り立ちがわかるため、それをどのように組み立てればいいかがわかり、結果として作曲の技術は向上していきます。
作曲上達につながる項目をきちんと分析する
また、分析を行ううえでは
作曲上達につながる項目を、作り手としての意図を持って無駄なく分析していく
ということも大切です。
そこで習得した「分析力」を自分自身の曲作りに応用していくことで、それを作曲上達につなげていきます。
▼以下のページでは、曲分析のやり方をまとめた「曲分析ガイドブック」についてご紹介しています。 作曲がぐんぐん上達する「曲分析ガイドブック」のご紹介ページ
「3. 音楽理論の学習」について
「5つの柱」の三つ目に挙げられるのが「音楽理論の学習」です。
「音楽理論」は、
曲作りを円滑に進めていくための便利な知識
ともいえるものです。
一般的な「音楽理論」の範囲はとても広いものですが、ポピュラー音楽の作曲におけるそれは、主に「コード」と「スケール」についての知識を指します。
理論によって作曲が意図的なものになる
自分自身のレベルに合わせて適切な順序に沿って音楽理論を学ぶことで、曲作りの際のコード進行構築やメロディ作りが意図的なものに変わっていきます。
理論的な裏付けを持った作業は、感覚的な思い付きやコンディションに関係なく、どんなときでも水準以上の結果をもたらします。
これは継続的な作曲活動における作業時間の短縮と、作業品質の維持につながります。
また音楽理論は「曲分析」においても活用することができて、理論的な側面から既存の曲を紐解くことでさらに理解を深めることができるようになります。
▼音楽理論学習における「何をどの順番で学べばいいか?」という点については、以下のページにてまとめています。 音楽理論を知りたい人のための「学習の見取り図」※独学に活用できる「音楽理論の何をどの順番で学べばいいか」のまとめ
「4. 作曲法の学習」について
「5つの柱」の4つ目は「作曲法の学習」です。
ここで述べている「作曲法」とは、具体的には
「曲をどのように組み立てていけばいいか」という手法を体系化したもの
を指します。
作曲法=良い曲にするための方法
音楽理論と同じく、作曲法を知ることで曲を完成させる作業が理論的な裏付けを持ったものに変わります。
同様に、それは作業時間短縮と作業水準の維持につながります。
こちらも同じく曲分析に活用することができて、実例に触れることで実際の曲作りにもそれらを活用していくことができるようになります。
▼「作曲法」に相当する知識については、以下のカテゴリページにある各記事を参考にしてみて下さい。
「5. 曲を聴く」について
「5つの柱」の最後のひとつが「曲を聴く」という取り組みです。
これは、アウトプットを増やすためのインプットにあたる作業だといえます。
「作曲が思うように進んでいかない」と悩んでいる人の中には、この「曲を聴く」ということをおろそかにしている人が本当に多いです。
インプットの量と質は必ずアウトプットにつながります。たくさんの音楽幅広く取り入れるほど発想は豊かになり、作れる音楽の質は高まり幅も広がっていきます。
曲を聴くことで「作りたい」という欲求も高まる
また良い音楽に触れることは作曲の作欲求を高めることにもつながるため、この「音楽を聴く」という行為は作曲を継続させていきたい人にとって欠かすことのできないものだといえます。
現在は定額制の音楽サービスが一般化してきているため、それらを活用すれば膨大な音楽を好きな時に好きなだけ聴くことができます。
そのような環境も活用しつつ、常に音楽を聴ける状態にしておくことも大切です。
▼関連ページ 作曲のためのインプットの方法|いろいろな音楽を幅広く作曲的観点から聴き、アウトプットの質を上げる
「5つの柱」を掛け合わせる
ここまで「5つの柱」の詳細をご紹介しましたが、これらに取り組むうえで大切なのは、
「それぞれを掛け合わせるようにして実践する」
という点です。
これは、例えば
- 音楽理論を習得したら、その理論の知識を用いて曲分析をする
- 新しい音楽を聴いたら、その中で気になるコードの響きを分析する
などのやり方を指し、「5つの柱」のそれぞれを別々に扱うのではなく、すべてを同時に意識しながら作曲活動に向き合っていく姿勢が大切だということ意味しています。
また、既に述べたように「5つの柱」は最終的に「曲作り」に結びつくものです。
すべてを掛け合わせながら、そこで得た知識を必ず曲作りにフィードバックさせるようにして、「5つの柱」のサイクルを回すように取り組んでいけると理想的です。
作曲を独学で学ぶ方法について
これ以降は、独学で作曲を学ぶための具体的な方法についても触れておきます。
ネットで学ぶ
作曲の独学方法として真っ先に思いつくのがネット上にあるWebサイトや動画を見ながら学習を進めるやり方で、この方法の一番のメリットはやはりお金がかからないところだといえます。
作曲関連のサイトや動画は現在かなり充実しており、詳しく解説されているものも多いためそれらを活用すればある程度のところまで学ぶことができるはずです。
気兼ねなく、今すぐにでも学習を始められるところも魅力の一つです。
本で学ぶ
ひと昔前に比べて作曲に関する書籍も充実してきています。
通常Webサイトや動画で作曲を学ぶ場合には自分から情報を収集していく姿勢が必要になりますが、本は情報がまとまっているため必要な知識を一度に知ることができます。
書籍を購入する費用が掛かりますが、効率を重視するとこちらの独学方法もメリットがあるといえます。
また、Amazonがやっている「Kindle Unlimited」を活用すれば月々の定額制でいろいろな本が読めてしまいます。
▼関連ページ 「Kindle Unlimited」で作曲や音楽関連の電子書籍が読み放題!思いのほか沢山あります!という話
さらには、昔ながらの方法として地域の図書館などを利用してみるのも良さそうです。
▼作曲が学べる本については、以下のページでご紹介しています。
作曲本のおすすめ7選|初心者がこれから作曲を始める・作曲の幅を広げるために活用できる本をご紹介します
通信講座で学ぶ
独学のために音楽関連の通信講座を活用することも考えられます。
多くはいわゆるオンラインレッスンのようなものですが、本来の意味での「独学」になるような、動画やテキストによって作曲を学ぶ通信講座もいくつか存在しています。
オンライン学習サイトとして海外で有名な「Udemy」などはまさにその類のもので、作曲系の講座は英語のコンテンツが多いですが日本語のものも充実しつつあります。
まとめ
ここまで「作曲の上達に欠かせない5つの柱」の概念とその詳細、取り組み方などについてご紹介してきました。
ただやみくもに曲作りを続けるのではなく、この「5つの柱」のような指針を得ることはモチベーションの維持と無駄のない上達のために大きな意味を持ちます。
こちらのサイトでもそれに関連したいろいろなアイディアを随時ご紹介していきますので、それらも参考にしながら是非この「5つの柱」に取り組んでみてください。
補足
以下のページでは、ここまでに解説した「作曲の上達に欠かせない5つの柱」をどのような順序で実践すればよいか?という点を詳しく解説しています。
実践編「作曲の上達に欠かせない5つの柱」をどのような順序で進めればいいか?を解説
動画で解説
下記動画でも「5つの柱」について解説しています。「文章ではよくわからない」という方は、是非こちらも参考にしてみて下さい。