【作曲】「曲が完成しない…」という悩みを生む三つの理由とそれを打開するためのアイディア

作曲に慣れていない人にとって、「一曲を完成させる」という壁は思いのほか高く、なんとなく作り始めたものの曲がなかなか完成しない、と悩んでいる人も多いものです。

曲をきちんと完成させるためには、そもそも

  • 曲とはどのようなものなのか?
  • それを作り上げるために何をすべきか?

などを理解しておく必要があり、さらにはそれらを行うための感覚や熱意も求められます。

こちらのページでは、日ごろ作曲の先生として多くの人を見てきている私の経験から、そんな「曲が完成しない…」という悩みの理由と、それを打開するためのアイディアについて考えていきます。

曲が完成しない三つの大きな理由

曲が完成しない理由として考えられるのは、大きく分類して以下の三つです。

  1. 何をやればいいかわからない
  2. (やることはわかっているけど)上手くできない
  3. 熱意が持てない(熱意を維持できない)

「1」はそもそも進むべき方向が見えていないケースで、これでは曲が完成しないのも当然です。

また、「2」はやるべきことがわかっていながらもそれを上手にこなせていないケースですが、そこには根本的な作曲技術の不足があり、また「自分に厳しすぎる」という点で行き詰まっていることも多いです。

そして「3」は行動を起こしたり、継続させたりするためのエネルギーにつながる部分で、実は曲を完成させるうえでこの点が一番の問題となります。

check
「やる気」がなければ、どんな物ごとも達成できないのは当然です。

現在悩んでいる人は、これらの理由を自分に照らし合わせてみると、問題点がどこにあるのかが少し見えてくるはずです。

それぞれの理由が絡みあうことで曲が完成しない

実際のところ、上記の理由は互いに絡み合います

つまり、

  • やることがわからない→わからないから上手くできない
  • 上手くできない→上手くできないから熱意が維持できない
  • 熱意が持てない→真剣に取り組もうと思わない→結果的に上手くできるようにならない

など、ある一つの理由がその他の理由を引き起こすことになる、ということです。

これらを解決するには、それぞれの理由に対して一つずつ対処していくしか方法がありませんが、裏を返せば、そこにきちんと対処すれば必然的にこの「曲が完成しない」という症状は改善されていきます

「曲が完成しない」を打開する具体的な対策

これ以降は、「曲が完成しない」という悩みを解決するための具体的なアイディアについて考えていきます。

1. 曲とはどのようなものかを理解する

まず、曲を作るにあたり知るべきは「曲(音楽)とはどのようなものか」という点です。

一般的に「メロディ」「ハーモニー」「リズム」は音楽の三要素と呼ばれるもので、これらが交わることで曲が成り立ちます。

そのうえで、

  • メロディの形
  • ハーモニー(コード進行)の流れ
  • リズムの種類
  • 曲の構成

など、曲の要素となっているものがどのようなものかを知ることが曲を作るための第一歩となります。

音楽を聴いている人は自然と理解できている

上記で挙げた「曲(音楽)とはどのようなものか」は、日ごろから音楽を聴いている人であればなんとなくイメージができるものです。

  • 「メロディってこんな感じだよね」
  • 「だいたい曲ってこういう感じで展開していくよね」

というようなイメージがつかめていれば、まずは問題ありません。

曲の形式を理解する

一曲を完成させるうえでポイントなるのが「曲の構成を理解しておくこと」で、この構成のことを「形式」などと呼びます。

これは、例えば

イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ

などのブロックのつながりによる、曲の成り立ちを意味するものです。

それらの構成を把握しておくことで、どのように曲を展開させていけばいいかが具体的にイメージできるようになり、結果として曲を完成させることができるようになっていきます

▼関連ページ
Aメロ・Bメロ・サビなどの意味と、それらを活用した「曲の形式」の例

2. メロディやコード進行のルールを知る

「曲とはどのようなものか」が理解できたところで、次にそれらを作るために必要な最低限のルールを頭に入れます

音楽は、単なる音の集まりではなく聴いて「心地良い」と感じられるかどうかが重要で、それを実現させるためには、いくつかの決まりに沿って音を組み立てる必要があるのです。

それが一般的にいわれている「音楽理論」と呼ばれるもので、それらは言い方を変えれば「取扱説明書」や、曲を完成させるための「レシピ」のようなものとしても捉えることができます。

check
「理論」というと難しい内容を想定してしまいますが、ポップス・ロック等を作るためには、まず限られた内容を簡単に知るだけで十分です。

音使いを知り、それをメロディ・コード進行に流用する

ここで挙げている「ルール」とは、具体的に

  • キー
  • メジャースケール
  • ダイアトニックコード

の三点です。

作曲に慣れていない時点では、まずこれらを知るところから始めます。

それによって、曲の中でどのような音使いをすればいいかがわかり、結果的にメロディやコード進行を無理なく作り上げていくことができるようになります

▼関連ページ
キー(音楽)について キー=「中心音」と「まとまりのある音のグループ」を意味する言葉 メジャースケールの内容とその覚え方、割り出し方、なぜ必要なのか?について ダイアトニックコードとスリーコード(概要や成り立ち、コードの役割などについて)

また、以下のページでは、音楽理論の学習全般についても解説しており、それぞれの解説ページにもつながっているためそのまま学習を始めることもできます。

音楽理論を知りたい人のための「学習の見取り図」※独学に活用できる「音楽理論の何をどの順番で学べばいいか」のまとめ
check
メロディやコードの扱い方がわからないことで曲が完成しないと悩んでいる人は、この音楽理論の学習を重点的に行うこともおすすめです。

3. メロディを考えられる力を身につける

ここまでを通して「曲の成り立ち」「曲作りのルール」を理解できましたが、そのうえで次なる障害となるのが、ページ冒頭でも挙げた

「やることはわかっているけれど、それが上手くできない」

という症状です。

中でも、「メロディ作り」はその代表的なもので、メロディの仕組みやルールは理解できていながらも、魅力的なメロディが生み出せずに作曲が停滞してしまうという人は多いです。

これを打開するためには、とにかくメロディ作りの経験を積むしかありませんが、それを練習によって意識的に行うことができます

作曲の準備|メロディを作る練習

上記のページでは、メロディ作りの練習方法について述べており、これらを通して「メロディを作るための脳(感覚)」を養うことができます。

メロディ作りが苦手だという人は、是非これらを参考にしてみて下さい。

メロディを作るコツを把握する

上記の練習とあわせ、メロディを作るのに慣れていない段階ではいくつかの点を意識することで、若干人工的ではありながらも作業をスムーズに進めていくことができます。

それらは、具体的には

  • メロディの音階(どんな音を使うか)
  • メロディのリズム
  • メロディの進め方
  • メロディの始め方

などです。

この点について詳しくは以下のページでも解説しています。

メロディが作れない(思い浮かばない)時の打開策|メロディはこうやって作る!を解説します。

これらを意識しながらメロディ作りの経験を積むことで、少しずつ魅力的なメロディを生み出せるようになっていきます。

4. 曲分析を行う

ここまでに述べた内容を、より深く、きちんと身に付けるために欠かせないのが「曲分析」への取り組みです。

▼関連ページ
曲分析の重要性について(曲分析の概要や効果、曲分析を習慣にすると作曲が上達する理由について)

詳しくは上記ページでも述べていますが、曲分析とは既存の曲を作曲者の視点から紐解く作業で、それによって曲の成り立ちを詳細に把握することができるようになります。

既に解説した

  • 曲とはどのようなものか
  • メロディ・コード進行等を作るために必要な音使いのルール
  • 曲の構成(形式)
  • メロディを作るために意識すべき点

などは、すべて既存の曲を分析することでその実例を確認できます。

つまり、身につけた知識を実際の曲と紐付け、さらにはそれを音として聴くことで「それがリスナーにどのような印象を与えるか」を理解することができるのです。

そこから、自分自身がどのような工程によって、作曲をどう進めていけばいいかが明確にわかり、こちらでテーマとしている「曲が完成しない」という症状は必然的に改善されていきます

check
曲分析をすることは「曲作りを進めるための地図」を確認するようなこと、とも解釈できます。

5. 絶対に一曲完成させる、という熱意を持つ

ここまでを通して、曲を完成させるために必要な知識はすべて身に付いたことになります。

あとはそれをしっかりと行動に移し、熱意を持って曲を完成させるのみです。

自分に厳しくしすぎない

ここで重要なのが「自分に厳しくしすぎない」という点で、過剰なダメ出しは曲の完成を遠ざけ、さらにはそれがやる気も減退させてしまいます。

まず、作曲に慣れていない時点では、どんな曲でも許容する器の大きさを持つようにしましょう。

それが曲の完成につながり、その経験がさらに次の一曲へとつながっていきます。

check
まずは身内の人だけに聴かせるような楽しくて短い曲を作ったり、童謡のようにシンプルな曲を作ることも効果的です。

モチベーションを維持する

また、作曲をやりきるためにはモチベーションを維持させることも大切です。

曲がなかなか完成しないと熱意も徐々に薄れていってしまうものですが、自分なりの方法によってそれを保つことも心掛けて下さい。

この点については、以下のページでも詳しく解説しています。
【具体策あり】作曲のやる気を高め、モチベーションを維持させる4つの行動|刺激を得てそれをエネルギーに変える

まとめ

ここまで「曲が完成しない…」という悩みを打開するためのアイディアについて考えてきました。

まとめは以下の通りです。

  • 曲とはどのようなものかを知る
  • 曲作りのルールを知る
  • メロディを考えられる力を身につける
  • 曲分析を行う
  • モチベーションを維持させる

一曲の完成に向けて、是非これらを参考にしてみて下さい。

この中でも「曲分析」に取り組むことが一番のおすすめです。

ポップス・ロック作曲の上達につながる「曲分析ガイドブック」について知る

作曲がぐんぐん上達する「曲分析ガイドブック」のご紹介ページ