こちらのページでは、マイナー系の曲作りや演奏の基礎ともいえる「Aマイナー」のキーにおけるコード進行を13パターンほどご紹介していきます。
メジャーキーと違ってマイナーキーのコード進行にはいくつかの気遣いが必要になりますが、これらを通して是非その理解を深めていただきたいです。
目次
基礎編
1. 超基礎的な構成
「Aマイナーキー」のコード進行を考えるうえで、まず真っ先に思いつくのがメジャーキーにおける「スリーコード」に近い構成であるこちらのコード進行です。
これは「Aマイナーダイアトニックコード」における「I」「IVm」「Vm」を順番につなげただけのものです。
シンプルでありながらもすべてがマイナーコードで構成されており、いかにもマイナーらしい響きを持っています。
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ダイアトニックコードとスリーコード 概要や成り立ち、コードの役割などについて
マイナーコードとは? 成り立ちとマイナーキー(短調)によるコード進行の作り方
2. 超基礎的構成のドミナントアレンジ
前述した超基礎的構成における「Em(Vm)」をアレンジし、「E7(V7)」としたのがこちらです。
「マイナーキー」は基本的に「ナチュラルマイナースケール」を土台として成り立つものですが、マイナースケールにはそれ以外に
- ハーモニックマイナースケール
- メロディックマイナースケール
という二種が存在しています。
これらはナチュラルマイナースケールの不完全な部分を矯正したようなもので、ここでの「E7(V7)」はそれによって導かれたコードです。
「Em」のままでは主和音「Am」に対するつながりが弱かったところ、この「E7」を活用することでより強く「Am」へ響きを結び付けることができるようになります。
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マイナースケールの解説 ハーモニックマイナー・メロディックマイナーを含む三種について
3. ツーファイブの活用
こちらでは、前述した「E7(V7)」を残しつつ、それをさらに「Bm7-5(IIm7-5)」によって拡張しています。
ここでの
「Bm7-5→E7(IIm7-5→V7)」
は、いわゆる「ツーファイブ」の構成です。
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ツーファイブとは?(概要と基本的な成り立ち、活用方法、マイナーキーにおける例など)
通常、メジャーキーにおけるツーファイブでは「IIm7→V7」となるところ、マイナキーにおいては「IIm7-5」のように、フラットファイブのコードを活用します。
曲によっては、前述した「メロディックマイナースケール」を前提として「IIm7」を活用することもあります。
ここでの「Bm7-5」によって「E7」へのつながりが明確になるため、よりドラマチックな流れを生み出すことができます。
4. マイナーコードを減らした構成
こちらはマイナーコードの数をあえて減らした構成で、このような形も典型的なものとしてマイナーキーにおいて頻繁に目にすることができます。
ここでは、平行調の「Cメジャーキー」においてスリーコードとなる「F(♭VI)および「G(♭VII)」を活用し、ややメジャー寄りのコードによって全体を組み立てています。
これによって、前述した例のような「いかにもマイナー」という響きが若干弱まり、適度に暗い雰囲気を演出することができます。
5. マイナーコードを減らした構成(アレンジ型)
既に述べた通り、上記構成における「E7(V7)」は主和音「Am」に強く結びつくものですが、それをあえて排除し、代理コードである「C(♭III)」へ展開させたものがこちらの構成です。
ここでの
「F→G→C」
は平行調「Cメジャー」における「IV→V→I」であるため、その親しみやすい響きから部分的に「Cメジャー」に転調して着地してしまったような響きが生まれます。
また、こちらのコード進行は「Cメジャー」を前提とすると
「VIm→IV→V→I」
という度数表記によって解釈でき、そこから「6451(進行)」というような通称も付けられています。
この構成は、音楽プロデューサーの小室哲哉さんが愛用していることから「小室進行」というニックネームでも呼ばれることがあります。
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「6451」型のコード進行の解説(通称:小室進行) 親しみやすさの考察と既存曲の例
主和音である「Am」の安定した響きが、そのまま自然な流れによって平行調「Cメジャー」の主和音「C」につながっていく面白さがあります。
6. 前半マイナー+後半メジャーの構成
こちらは上記コード進行をさらにアレンジしたようなもので、前半を「Am」「Em」によるマイナーの流れで組み立て、後半に「F」「C」を配置しメジャーコードで落ち着かせています。
これにより、上記コード進行と同様に切ない響きが明るく展開して、ハッピーエンドを迎えるような雰囲気が生まれています。
ポイントとなっているのは「F→C」の部分で、前述のコード進行が平行調の「Cメジャー」を強く感じさせるような構成になっていたのに対し、こちらではそのドミナントコード「G」を経由させず、直接「F」から「C」へと向かわせています。
それにより「C」へ静かに着地するような響きが生まれていますが、コード進行の浮遊感を生み出すためにこのようなアイディアはよく活用されます。
7. 「Am」を中心に置かないコード進行
ここではコード進行の冒頭にサブドミナントコードの「F」を配置し、そこから「Am」に向かって流れを作っています。
ポイントとなるのは
- 「Am」の直前に「E7」を配置していない
- 「G」のコードによって「Am」を挟むような構成としている
という二点で、これによって主和音「Am」への着地を明確にせず、それを経過コードのようなものとして提示することができています。
マイナーキーにおいては、「サウンドが暗くなりすぎる」という点が課題になることもありますが、このようなアイディアはそれを緩和するためにも活用できます。
「V7(キー=AマイナーにおけるE7)」は主和音の存在を強く感じさせる効果を持ちます。
また、このコード進行を循環させることでベースの動きが
F→G→A→G→F→G→A→G…
のようになり、全音進行で音階を上下させるような構成を生み出すことができます。
応用編
8. ブルースコード「F7」の活用
こちらは、ノンダイアトニックコードとして「F7(♭VI7)」を活用したコード進行です。
この「F7」にはブルージーな響きがあり、マイナーキーの持つ切なげな雰囲気をより際立てるように働いていることがわかります。
ツーコードの繰り返しですが、サウンドに重きを置くことでこのようにシンプルな構成でも思いのほか成立してしまうものです。
9. 「B♭7」の活用
前述の「F7」を活用した例に似たものとして、こちらでは「B♭7」を当てはめ、同じくツーコードの構成として繰り返しています。
この「B♭7」は、「Am」に対するドミナントセブンス「E7」の「裏コード」として解釈できます。
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裏コードについて ドミナントコードの代理ができるコードを解説
「F7」とはまた違った意味での尖った響きがあり、また半音で「A→B♭→A→B♭」と動くルートも生み出されています。
10. 「D7」の活用
こちらも上記二例に似たツーコードの構成です。
ここでの「Am→D7」という流れは、「キー=Gメジャー」におけるツーファイブに相当するものですが、そのような観点からノンダイアトニックコードの「D7」を導くことができています。
前述した「F7」と同じように、どことなくブルージーで、それでいて明るい響きもあわせ持っているところが特徴といえます。
11. ルート音が下がるコード進行
こちらのコード進行は、ルート音の流れをスムーズに作るために分数コードを活用したものです。
それによって、
A→G→F#→F
というスケールに沿ったルートの流れが生まれています。
中間の「DonF#」は前述した「メロディックマイナースケール」を感じさせるコードです。
12. 四和音を活用したオシャレなコード進行(1)
既にご紹介した「『Am』から始めない」というアイディアを応用したものがこちらのコード進行で、ここでは全体に四和音のコードを活用し、それによって都会的なサウンドを生み出すことができています。
「Em7(Vm7)」はお好みで「E7(V7)」とすることもできますが、「Am7」に対する結びつきがより強まってしまうため、緩やかなムードを重視する場合にはこの状態が最適といえそうです。
13. 四和音を活用したオシャレなコード進行(2)
こちらもコード進行の冒頭に「Am」を配置しないアイディアで、「IIm7-5」にあたる「Bm7-5」から、前述した裏コードの「B♭7」を経由し、
B→B♭→A
というルートの半音下降によって「Am」へと静かに着地する流れが作られています。
ボサノバなどではこのようなコード進行をよく見かけることができます。
まとめ
「キー=Aマイナー」のコード進行をいくつかご紹介してきましたが、これらを踏まえると、コード進行を組み立てる際には主に以下のような点を考慮すべきだといえます。
- 冒頭に主和音「Am(Im)」を置くか/置かないか
- 「E7(V7)」によって「Am」の存在を明確にするか/しないか
- ルート音のつながり
また、上記とあわせて三種のマイナースケールをコード進行の中で活用していくことも検討できます。
これらを参考に、是非聴きごたえのあるコード進行を自分なりに生み出してみて下さい。
※以下のページでは、その他のコード進行についてもご紹介しています。
「キー=Cメジャー」で使えるコード進行15パターン|作曲や演奏に使えるコード進行の基礎編から応用編まで
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