打ち込み(パソコン・DAW)による作曲手順の解説|曲作りの概要や方法をご紹介します

作曲をしようとソフトを買ったものの

何から手を付ければいいのか全くわからない…

と頭を悩ませている人は案外多いものです。

こちらでは、そのような「パソコン・DAWを使った作曲=打ち込みによる作曲」という点に特化して、普段作曲講師として活動する私が一曲を作るための手順を解説していきます。

是非これ以降の内容を作曲活動を始めるステップとしてみて下さい。

打ち込みの作曲に必要なものについては、以下のページでご紹介しています。
作曲に必要なものとは?PCを使った作曲・音楽制作に必要なもの(機材)と費用の目安を詳しく解説します。

打ち込み作曲を考える際の前提

作曲(音楽制作)のためのソフトにはさまざまな種類がありますが、そのどれも基本的な設計は同じで、具体的には

  • 複数のトラック(音)を重ね合わせて1曲にする
  • 「音声(生音・生声)のトラック」と「データのトラック」を混在させてそれらを行う

という共通する二点によって成り立っています。

そのうえで、こちらでは「打ち込み(データの入力)」に特化して考えていくため、それはつまり

データのトラックのみを使って1曲を作ること

を意味します。

このことから、基本的にDAWで打ち込みによって作曲をする際には

  1. 複数のトラックそれぞれに、個別にデータを打ち込む
  2. それらを重ね合わせて1曲にする

という手順を踏むことになります。

打ち込みに使われる画面

トラックにデータを打ち込む際には、「ピアノロール」と呼ばれる画面を使って作業を進めていくのが一般的です。

これもほとんどのDAWソフトに備えられている画面で、以下の画像はその例です。

画面の左端にピアノを縦にした画像の領域があり、その右側にはそれぞれの鍵盤に対応するマス目が並んでいます。

マス目は縦の太い線・細い線で区切られていますが、これは小節や拍を表しています。

上記の図は、「ド・ミ・ソ」という三つの音を同時に、それを「1小節目の間」鳴らしている、ということを意味しています。

このマス目部分に何らかのデータ(上記画像でいう青いバー)を入力することで、

  • どんな高さの音を鳴らすか
  • それをどの程度の長さで鳴らすか

という点を定義していくことができるのです。

データを音源につなげる

ピアノロールの画面はあくまでも「データ」であるため、その先には「音(音源)」という存在があります。

つまり、ピアノロールで上記のように定義した「音の高さ」「音の長さ」などのデータを音源につなげ、例えばそれをピアノで表現したり、ギターで表現したりする、ということです。

この点についてはそれぞれのソフトによっても設定が異なるところですが、データ(MIDI)トラックにはほとんどの場合「出力先」の設定項目があり、そこに音源を指定することで打ち込んだデータを目的とする音色で鳴らすことができるはずです。

「トラック」という概念

既に述べた通りDAWソフトには「トラック」という概念があり、これらを重ね合わせることでアンサンブルを実現することができます。

上記の図は、「ピアノ」「ギター」「ベース」をそれぞれのトラックに打ち込んでいる例です。

この状態を再生することで、それぞれのトラックに打ち込まれたデータが(それぞれ設定されている音色で)同時に鳴らされ、それがアンサンブルになります。

打ち込みの概要まとめ

ここまでの解説を元にまとめると、

  1. 各トラックを「ピアノ用」「ギター用」などのように設定する
  2. それぞれのトラックで必要となる演奏データをピアノロールで打ち込む
  3. 上記複数のトラックを同時に鳴らすことでアンサンブル=1曲になる

という作曲の流れが理解できるはずです。

そのうえで、細かい設定は曲調によってさまざまに変わるため、ここでは一般的な「打ち込みによる1曲の成り立ち」として上記を理解して下さい。

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例えば生ドラムを打ち込みよって表現する際には、1台のドラムを複数のトラックによって組み立てることがほとんどです。

打ち込みによる作曲の実践

これ以降は「打ち込みによって実際に一曲をどう作り上げていくか」という点について踏み込んで考えていきます。

アンサンブルについて

既に述べた通り、打ち込みの楽曲は基本的に「複数のトラックに打ち込まれたデータのアンサンブル」によって成り立つため、作曲を考えるにあたりまずは「アンサンブル=合奏」というものを最低限理解しておく必要があります。

音楽の三要素=リズムとハーモニーとメロディ

「音楽の三要素」という概念があり、それらは

  1. リズム
  2. ハーモニー
  3. メロディ

の三つを指しますが、アンサンブルを組み立てる際にもこの概念が活用できます。

例えば、バンドでよくある楽器の編成は以下のような成り立ちによるものだと考えられます。

  • ドラム=リズム
  • ベース=ハーモニー(またはリズム)
  • ギター=ハーモニー、メロディ
  • ボーカル=メロディ

作曲を進める際には、この点を意識しながらデータを打ち込むことがポイントとなります。

アンサンブルを打ち込みに置き換える

上記を踏まえ、打ち込みを行う際に最も簡単なのが、それぞれのトラックを

  • 「リズム」を担当するトラック
  • 「ハーモニー」を担当するトラック
  • 「メロディ」を担当するトラック

と、「三要素」に振り分けてしまうやり方です。

これは、具体的には

  • ドラムのトラック(リズム)
  • ピアノ(1)のトラック(ハーモニー)
  • ピアノ(2)のトラック(メロディ)

というようにトラックを分けることを意味しており、それぞれのトラックで然るべきデータを打ち込むことで1曲を作り上げることができます。

ドラムのトラックについて:リズム

まず一つのトラックを選び、そこにドラムのデータを打ち込んでいきましょう。

この点についてはさまざまなリズムパターンが存在していますが、例えば以下のような動画がその理解のために活用できます。

試験的に、短い8ビートのパターンを4小節程度打ち込んでみると、イメージがつかめるはずです。

さまざまなリズムパターン

実際のところリズムを生み出すのはドラムだけではなく、そもそも曲自体がどのようなリズムを持つか、という視点を持つことが大切です。

これにはさまざまなリズムのパターンを知ることが重要で、いろいろな曲を分析したり、その上で作曲を重ねていくことでこの感覚が徐々に養われていきます。

以下のページではリズムについて詳しく解説していますので、そちらも参考にしてみて下さい。

作曲に活用できるリズムの種類(曲作りの幅を広げる)

ピアノ(1)のトラックについて:ハーモニー

次に、ハーモニーを表現することを目的としてピアノを打ち込んでいきます。

この「ハーモニー」とは別の言い方をすれば「コード進行」のことで、これを行うためにはコード進行の理論的な理解が欠かせません。

また、ここから「キー」という概念も必要になるため、打ち込みの前にそれらについて一通り把握しておくことをお勧めします。

▼関連ページ
【コード進行とは?(コード進行の作り方)】どのような手順に沿ってコード進行は作られるのか?を考える
曲のキー(調)を判別する方法【コードのみからキーを判別する】そもそも「キー」とはどのようなものか?

ピアノの打ち込みパターンについて

実際の打ち込みでは、ピアノにおけるコードフォームをピアノロールに置き換え、それをデータとして打ち込みます

冒頭「ピアノロール」の箇所でご紹介したように、例えば「ド・ミ・ソ」という三つの音のデータが縦に重なって入力されるような形となります。

以下の動画などは、その理解を深めるために役立つはずです。

適度にデータの長さを区切って入力することでそこに無音部分が生まれ、実際に演奏されるピアノのように、躍動感のあるリズムも同時に生み出すことができます。

ピアノ(2)のトラックについて:メロディ

三つ目に入力するのが「メロディ」に相当するトラックです。

ここでは音色を「ピアノ」としていますが、よりメロディを際立たせるためにこれを管楽器やシンセサイザーの音などにすることも検討できます。

メロディは基本的にメジャースケールによって組み立てていくことになるため、この点についても事前に目を通しておくと、よりスムーズに作業を進められるはずです。

▼関連ページ
メジャースケールの内容とその覚え方、割り出し方、なぜ必要なのか?について

メロディは自由度が高い

前述した三要素のうち、「リズム」と「ハーモニー」が曲の土台のような存在であるのに対し、メロディはその上で自由に動くことができるものです。

そのため、本来メロディはコード進行やその曲の「キー」を背景として自由に音を動かしながら検討されます。

反面で、メロディは「主旋律」とも呼ばれるようにその曲を象徴する存在ともなるため、親しみやすさやインパクトなどにも配慮すべきで、この辺りが作曲における一番の壁ともなる部分です。

メロディ作りについては、以下のページも参考にしてみて下さい。
コード(コード進行)からメロディを作る|コードの伴奏の上で自由にメロディを歌うことの概要とそのコツについて

作業のポイントとその後

上記の通り、打ち込みによって行われる作曲の例をご紹介しましたが、これはあくまでもシンプルな曲の例で、実際のところトラックの編成や楽器の音色・コードおよびメロディの表現はこの限りではなく、組み合わせや構成は無限に想定できます

ご紹介した例を元に、まずは

  • データを打ち込むこと
  • アンサンブルを組み立てること

と体験してみて下さい。

曲の展開について理解を深めると、より聴きごたえのあるものが作れるようになる

もちろん「楽曲」と呼べるようになるには、上記三要素が次々につながって展開し、曲からストーリーを感じられるようにしていく必要があります

それには前述したコード進行やメロディ、そして曲構成の方法などについての理解も求められます。

この点は、ピアノやギターを使ってやる、いわゆる昔ながらの作曲と同じであるため、「より聴きごたえのある曲を作るためにどうすべきか」という点を学び、魅力的な曲を目指して下さい。

▼関連ページ
曲構成のパターン(曲形式)と、それらを意識した曲作りの方法

三つのトラックを発展させ、一曲にまとめる

ここから曲を「音源」としてきちんと聴けるものにするためには、より細かい編曲があり、さらには「ミキシング」と呼ばれる工程やほかさまざまなDAWの操作が必要となります。

以下のページではそれらに関連した事柄をまとめていますので、そちらについても確認しておくと作業の流れをイメージしやすいはずです。

曲を音源にするために必要な工程とその詳細について|作曲、編曲(アレンジ)、ミキシング、マスタリングなど
「作曲」とはどこまで作ることを指すのか?|音楽制作の境界線を考える

まとめ

ここまで「打ち込みによる作曲」の概要や手順等について解説してきました。

ひとことに「打ち込み」といってもやれることは細分化し、目指す曲調やジャンルによっても力を入れるべき点が変わります。

まずは上記を元に打ち込みによる作曲の基礎を体験し、そこから理想とするサウンドを求めて打ち込みの方法やサウンド、その後の工程などを追及してみて下さい。

ピアノロールを使いこなすことが、打ち込んだデータを魅力的なものとして聴かせるためのカギとなります。

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