楽器を使った作曲を考える際、真っ先にお勧めするのは「ピアノ(またはそれに似た鍵盤楽器)」です。
こちらではその理由と、お勧めのモデルを3つほどご紹介していきます。
目次
作曲用楽器に「ピアノ(鍵盤楽器)」をお勧めする理由
私が作曲のためにピアノ(鍵盤楽器)をお勧めするのには以下のような理由があります。
- 単音、および和音の双方を表現できる
- 簡単に音を鳴らすことができる
- 利便性が高い
- 安価で手に入る
それぞれについて、詳しくは以下の通りです。
1. 単音、および和音の双方を表現できる
作曲は文字通り「曲を作ること」であるため、その作業の中で主に検討されるのは
- メロディ
- ハーモニー
- リズム
の三点です。
ピアノはそれに最も適しており、具体的には単音と和音の双方を表現できる、という性質を持っています。
これが作曲にピアノをお勧めする理由の一つです。
楽器の区分
楽器には、大きく分けて
- 単音と和音で表現する楽器
- 単音で表現する楽器
- リズムを表現する楽器
という三種類があり、以下はそれらに含まれる楽器の例です。
- ピアノ
- ギター
- 鉄琴・木琴
- ハープ
- トラペット等の管楽器
- バイオリン等の弦楽器
- ドラム
- パーカッション類
- ティンパニ
この中でも、作曲に適しているのは「単音と和音で表現する楽器」です。
メロディもコードも表現できる
ここで述べている「単音と和音の双方を表現できる」とは、すなわちメロディもコードも演奏できる、ということです。
例えば上記一覧にある「単音で表現する楽器」は、メロディは表現できても和音=コードが表現できません。
反面でピアノにおいてはそれが可能で、これはハーモニー(和音やそのつながり)を検討する作曲という作業において大きな意味を持ちます。
また、ピアノは本来両手で弾くものであり、左手・右手のそれぞれに「コード」「メロディ」を割り当てれば、コードの上でメロディがどう響くか、ということも即座に確認できます。
2. 簡単に音を鳴らすことができる
作曲用の楽器としてピアノをお勧めするもう一つの理由は「音が簡単に出せるから」です。
と考える方も多いはずですが、これが案外そうでもありません。
というのも、作曲用として楽器を使うにあたり壁となるのが「演奏」で、細かくいえばそこには
- 音を出す
- 演奏する
という二つのステップが必要になるのです。
そして、そもそもこの「音を出す」に苦労する楽器が多く、その筆頭ともいえるのが前述した「単音と和音で表現する楽器」の一つでもある「ギター」です。
弦楽器・管楽器は音が出ない
初心者がギターを使って作曲をしようとするとき、ほとんどの人は音を出すのに苦労します。
もちろん、そのまま弦を「ジャラ~ン…」と弾けば音は鳴りますが、ではそこから
と考えると、まず初心者はそれができないはずです。
これは、ギターの構造がその原因となっていますが、他にも管楽器や弦楽器などは同じような構造上の理由から音を出すのに苦労します。
演奏面でのストレスを軽減できる
そに引きかえピアノはどうかといわれれば、ピアノの鍵盤は上から押さえればすぐに音が鳴ります。
前述した「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」も、ほとんどの人が簡単に演奏できるはずです。
ピアノは「鍵盤の上をネコが歩いて音が鳴る」などということもあります。これは言い方を変えれば「ネコでも音が出せる」ということです。
「簡単に音を鳴らすことができる」とは、「作曲にピアノを使うと演奏面でのストレスを軽減できる」ということを意味しています。
つまり、純粋に曲作りに専念できるため、「作曲に使う」を考えるうえでそれが他の楽器と比べた時の大きな利点となるのです。
3. 利便性が高い
作曲にピアノをお勧めする三つ目の理由は「利便性の高さ」です。
他の楽器は案外利便性が低い
前述した「単音と和音で表現する楽器」には、他にも「鉄琴・木琴」「ハープ」などが含まれていましたが、それらには以下のようなウィークポイントもあります。
- 鉄琴・木琴:音が大きい
- ハープ:入手しづらい
もちろん、厳密には他にも「単音と和音で表現する楽器」がありますが、それぞれには似たような難点があり、一般家庭で気軽に作曲用の楽器として使うにはやや敷居が高いです。
ピアノは静かに弾ける、すぐ入手できる
その点ピアノはどうかといえば、電子ピアノを使えば音をヘッドフォン経由で聴くことができます。
その際、外部に聴こえるのは鍵盤を押さえる音だけです。
そして、ピアノは楽器店・量販店・ネットなどですぐに入手できますし、大きすぎない電子ピアノ(電子キーボード)であれば部屋に置いてもかさばりません。
小さめの電子ピアノ(キーボード)であれば、いざという時に持ち運ぶこともできます。
ここから、ピアノがその他の楽器と比べて高い利便性を持っている、ということがわかるはずです。
鍵盤を目で見て弾ける
また作曲をより突っ込んで考えると、ずらっと並んだ鍵盤を見ながら音と音の関係を瞬時に把握できる、という点もピアノの利便性の高さにつながる部分です。
例えばギターは音の配列が思っている以上に複雑で、和音を構成する音などを把握する際に若干のコツが必要となります。
その点ピアノは「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」と音が左から右へ並んでいるだけであるため、自分がどんな音を押さえているかがすぐにわかり、音程を理解するのも簡単です。
作曲をより円滑に、かつきちんと進めていくうえでこの点もピアノをお勧めする理由といえます。
4. 安価で手に入る
最後の理由は「安価」だということです。
ご紹介した電子ピアノは数千円から5万円以下で入手できるものがほとんどです。
もちろん、本格的なピアノになればそれなりの価格となってきますが、これから作曲を始めようと考える時に使うものであれば、そのようにリーズナブルなもので十分です。
ここまで条件の揃った楽器は無い
改めて、作曲にピアノをお勧めする理由を整理します。
- 単音、および和音の双方を表現できる
- 簡単に音を鳴らすことができる
- 利便性が高い
- 安価で手に入る
こうして見てみると、作曲のためにここまで条件の揃った楽器は他に無いように感じます。
「初心者が作曲をするために使う楽器」という観点では、ピアノに勝るものはありません。
ピアノ(電子ピアノ・キーボード)のお勧めモデル
ここからは、具体的にどのようなモデル(機種)が作曲用途としてふさわしいか、という点をご紹介していきます。
前述した「利便性」「安価」という点を特に重視して、3つの機種を選びました。
お勧め(1)YAMAHA P-45B
一つ目にお勧めするのは、YAMAHAの「P-45」です。
88鍵という本格的な鍵盤数を搭載していながら、ボディがコンパクトで無駄なものをそぎ落としたフォルムとなっています。
また、サウンドもYAMAHAクオリティで、安っぽさがありません。
鍵盤のタッチもアコースティックピアノ的でこだわりが感じられ、ピアノを単なる楽器として弾く場合にも十分楽しめます。
5万円以下で買える電子ピアノとしては、こちらのモデルが最もお勧めです。
お勧め(2)YAMAHA NP-12B
二つ目にお勧めするのは、前述した「P-45」よりもさらに手軽なモデル「NP-12」です。
鍵盤数も61鍵とよりコンパクトで、かつ鍵盤はボックスタイプになっていながらも打鍵の感覚が軽く、電子キーボードに近い演奏感です。
重量も4.5kgなので持ち運びもできてしまうほどの軽さなのですが、同価格帯の他電子キーボードに比べて音が良いところがお勧めできるポイントです。
このあたりもやはりYAMAHAの強みかなと思います。
いわゆる「電子ピアノ!」という立派な感じではなくより安価なもので、かつ音や品質の良いものを求めている方にはぴったりです。
お勧め(3)CASIO SA-76
さらに安価で手軽な電子キーボード、という観点からお勧めできるのがCASIOの「SA-76」です。
こちらのモデルは「ミニキーボード」に分類されるものなので、打鍵の感覚や音もそれなり、そしてその分値段も1万を切っていますが、お手頃派の方にはこのようなモデルで十分ともいえます。
こちらは持ち運びを前提としている部分も大きく、単3電池でも動く構造となっています。
電子キーボードというと、ファミリー向けのファンシーなボディのものが連想できる中、デザイン的には「作曲用の機材」という感じがして個人的に好感が持てます。
この程度の価格帯であれば「とりあえず買ってみる」という選び方もできそうです。
番外編
ここまでを通して、作曲にお勧めの楽器はご理解いただけたかと思います。
そのうえで、では「どのような手順によってピアノを使い作曲をしていけばいいか」という点を疑問に持つはずです。
そのような方のために、以下のページでは「ピアノを使った作曲の方法」について詳しく解説しています。
【ピアノで作曲!楽器が弾けなくても大丈夫】作曲初心者がピアノやキーボードで作曲する方法
実際に作曲に取り組む際には、是非上記ページを参考にしながら進めてみて下さい。
まとめ
ここまで作曲にお勧めの楽器として、ピアノをお勧めする理由と、具体的なモデルをご紹介してきました。
解説したように、ピアノには作曲を円滑に進めるためのいいところが沢山あります。
実際の作曲を通してそれを体感しつつ、是非ピアノでしか作れない良い曲を作り上げてみて下さい。
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