みんなで集まって「さあ音を出そう」となったとき、思いのほか迷ってしまうのが「どんなコード進行で演奏するか」という点です。
特に、セッションで使えるギター用のコード進行には
- 適度にかっこいいサウンド
- 延々と循環させられる
- ギターで弾きやすい
というような要素が求められます。
またセッションの場であるため、これらに加えて「そのコード進行によって他の演奏者も楽しめる」という点も重視したいところです。
というわけで、こちらのページでは、それらを踏まえた「ギターのためのセッション向けコード進行パターン」を3パターンほどご紹介してみます。
それぞれのアレンジ型もあわせて取り上げていますので、是非セッションに活用してみて下さい。
※演奏のしやすさを考慮して、キーは「Cメジャー」に固定します。
目次
1. 「いち・ろく・に・ご」(循環コード)の構成
[IM7→VIm7→IIm7→V7]
まず初めにご紹介できるのが、「循環コード」の定番ともいえる「IM7→VIm7→IIm7→V7」(いち・ろく・に・ご)の流れです。
▼関連ページ
循環コードの詳細と成り立ち・派生形や「逆循環コード」についての解説など
トニックコード(I)で始まった流れがサブドミナント(IIm)→ドミナント(V)と変化し、それをまた冒頭のトニックに戻すことで繰り返せる構成となっています。
16ビートのR&B調セッションにも似合い、またポップス定番の8ビート系セッションとも相性が良いという、万能なコード進行だといえます。
テンションを付加する
また、このコード進行をより都会的なサウンドにするため、ここにテンション等を加えて以下のようなコード進行にすることもできます。
実際に演奏してみると、使い勝手の良かった循環コードにテンションが加わって、より高級感のあるサウンドになったと感じるはずです。
コードのポジションはローコードからジャズコード的な押さえ方に変わっていますが、カッティングのミュートがしやすくなることから、特に抑えた16ビートの表現がより簡単になります。
▼関連ページ
テンションコード 概要とコード表記、コード進行例などの解説
「IIm7」から始めるアイディア
上記とは別に、そもそもの構成における開始点をサブドミナント(IIm7)に設定して、トニックから始まるものとはまた違った雰囲気を演出する方法もあります。
以下は前述した構成を「Dm7」から始めた構成です。
構成を循環させられる、という点は同じです。
単に開始点が変わっているだけですが、そのアイディアひとつだけで都会的な雰囲気がより強まったように感じられます。
テンションを加えたアレンジ型を活用して、以下のような構成とすることもできます。
これらのもとになっているコードが、お馴染みの「C」「Am」「Dm」「G」だということを考えると興味深いです。
2. ロック系コード進行
[I→♭III→♭VII→IV]
次にご紹介するのが、「♭III」や「♭VII」を活用したロック的な雰囲気のあるコード進行です。
特にロック系のセッションなどに活用できるコード進行で、これらをパワーコードによって演奏することもできそうです。
前述した「循環コード」の構成に比べてドミナント(V)が含まれていないため、全体に大きな響きの波が無く、淡々と展開していくような雰囲気も持っています。
▼関連ページ
フラット系三種のノンダイアトニックコード 同主調マイナーからの借用
セブンスを付加する
これをさらにロック方向に寄せる意味で、ここにセブンスを加えてすべてのコードを「〇7」の形にすることもできます。
以下はその例です。
[I7→♭III7→♭VII7→IV7]
単にすべてのコードをセブンス化しただけですが、よりブルージーな響きが生まれています。
ブルースロック系のセッションでも活用できるはずです。
▼関連ページ
ブルースコードの概要とコード進行の例・バリエーション(ジャズブルースなど)
メジャーセブンスの付加(やや強引)
また、オシャレな感じにするためにはメジャーセブンスの付加が検討できます(以下)。
[IM7→♭IIIM7→♭VIIM7→IVM7]
ただ、こちらは本来の「ロック的」という主旨からは遠ざかるため、若干強引な感じもします。
3. サブドミナント始まりの展開
[IVM7→IIIm7→VIm7→Vm7-I7]
こちらはサブドミナントコードの「IVM7(FM7)」を開始点として、そこからトニックの代理コードである「VIm7(Am7)」に向かう構成です。
上記「循環コード」の箇所で述べたアレンジ型を発展させたものともいえそうですが、捉え方によって「キー=Aマイナー」としても解釈できそうです。
同じく、ポップス・ロック系からR&B系セッションまで、幅広く活用できます。
最後にある「Gm7_C7」は「FM7」に向かうためのセカンダリードミナントコード「C7」をツーファイブの形にしたものです。
▼関連ページ
セカンダリードミナントコード 成り立ちとその表記などをわかりやすく解説します
ツーファイブとは?(概要と基本的な成り立ち、活用方法、マイナーキーにおける例など)
これによって全体がさらに循環させやすい構成となっています。
セカンダリードミナントをさらに加える
ここにある「IIIm7(Em7)」を「III7(E7)」=セカンダリードミナントコードとして、さらにその後のコードに対してつながりを強めることもできます。
以下は、その例です。
[IVM7→III7→VIm7→Vm7_I7]
「E7」によって「Am7」がより際立つため、構成全体がよりマイナーキーらしいものに感じられます。
より複雑・都会的にする
ここまでの構成を、さらにツーファイブやテンションによってより複雑にすると以下のようになります。
[IVM7(9)→VIIm7-5_III7(♭9)→VIm7→Vm7(9)_I7(♭13)]
ここまで来ると相当R&B的で、コードもかなり込み入ってくるため、冒頭で述べた「弾きやすさ」からは若干離れます。
とはいえ、もとのコード進行にあった循環できる性質は保持されているため、セッションでも問題なく活用できるはずです。
このように、R&Bやファンク系のセッションでは土台となるコード進行をある程度決めたうえで、そこからツーファイブやテンション等でアレンジを加えると、理想のウンドにより近づけることができるでしょう。
番外編
以下のページではさまざまなコード進行をご紹介しています。
中にはセッションで使えるような「循環させられる」という性質を持ったものもあるため、そちらも是非活用してみて下さい。
コード進行パターン集(1)全20パターン シンプル構成からロック・ボサノバ風まで
コード進行パターン集(2)全20パターン ビートルズ風コード、ブルース風コードなど
コード進行パターン集(3)全20パターン ルート音の変化、テンションや分数コードによるジャズ風アプローチなど
コード進行パターン集(4)全20パターン マイナー系コード進行やAOR風のサウンドなど
コード進行パターン集(5)全20パターン クリシェラインのベース活用、ツーコードのシンプル構成など
コード進行パターン集(6)全20パターン ディミニッシュコードやペダルポイントを活用した上級アプローチ
まとめ
ここまでセッションで使えるギター用のコード進行についてご紹介してきました。
記載したコードポジションは弾きやすさやコードのつながりを考慮したものですが、これ以外にもいろいろなポジションによってコードを表現することで新たな展開が連想できることもあります。
実際にギターを弾きながら、その響きを体感してみて下さい。
ポップス・ロック作曲の上達につながる「曲分析ガイドブック」について知る
作曲がぐんぐん上達する「曲分析ガイドブック」のご紹介ページ