こちらのページでは、楽曲の中に必要となる「メロディの空白」について解説していきます。
メロディの中に空白を適度に入れることで、聴きやすさやメリハリを生み出すことができます。
空白の重要性
見落とされがちな「空白」
「作曲」とは一般的にメロディをゼロから作っていく作業であるため、何もないところを埋めるようにアイディアを生み出していくことがほとんどです。
そのような中で、案外見落とされているのが「メロディの中の空白」という存在です。
普段から耳にしている多くの曲にはメロディの中に適度な空白があり、それが楽曲のアクセントや聴きやすさを生んでいます。
既存曲での例
下記は既存の曲におけるメロディの中にある空白の例です。
SMAP「世界に一つだけの花」
※Bメロ終わり~サビ頭
この例では、Bメロの締めくくりの部分に空白が設けられています。
直後の「そうさ僕等は」がサビ前の準備部分となるため、それに向けたひと休みのような箇所として機能しています。
これ以降、サビでは大きな空白を挟まずにメロディが次々と展開していきますが、ここでひとつ空白を挟んでいることでその勢いがより際立って聴こえます。
Mr.Children「Tomorrow never knows」
※Aメロの一行目から二行目の間
こちらの例では、二行構成となっているAメロの一行目と二行目をつなぐ部分に空白が盛り込まれています。
曲の始まりにあたるAメロは、導入部分としてリスナーにゆったりと曲に向き合ってもらうため落ち着いた雰囲気に作り込まれることが多いです。
この例にある空白もそのような意図によるもので、適度な空白があることで落ち着いた雰囲気を保ちながらAメロ二行目に展開していると感じます。
「仰げば尊し」の冒頭部分
こちらも前述の「Tomorrow never knows」と同じくAメロの折り返し部分に設けられた空白の例です。
反面で、こちらの曲はBメロ以降も同じメロディの構成になっており、そこでも同じような箇所に空白が登場します。
そのような意味から、曲全体を通してメロディの区切りに空白を設けてリズム的なアクセントをつけている、とも解釈できます。
空白をコントロールするということ
いろいろな空白のパターンがある
上記でご紹介したように、メロディの中にある空白にもいろいろな種類があります。
上記例以外にも、ブロックの始まり部分に空白が盛り込まれている構成や、ひとつのブロックの中に沢山の空白がある構成、何拍もメロディが登場しないような大きい空白がある構成などもあります。
また、曲によって目立った空白が見つけられない構成もあり、単に空白を盛り込めばいいというわけではないことがわかります。
芸術の分野で多く活用される空白という概念
メロディの中にある空白は絵画や演劇などの芸術にも通じる概念といえます。
作品の中にちょっとしたスペースを作り主題をさらに魅力的なものとして提示する、という手法は作品を単調なものにしないための配慮のようなものです。
メロディを考えていく際にはここまでの例のように適度な空白を挟むことを心がけて、それにより全体を通してメリハリのある構成を作り上げていけると理想的です。
まとめ
ここまで、メロディの中に空白を設けることの重要性について解説してきました。
完成した曲を聴き返してみてメロディが単調なものに感じられたりぎくしゃくしているように感じられる場合には、空白について見直すことでそれを打開できることがあります。
空白を常に意識しながら、是非魅力的なメロディを目指してみてください。
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