音楽理論の基礎|初心者が最初に学ぶべき音楽理論の項目と学習の順番(知識ゼロからしっかり理解するための順序と注意点)

こちらのページでは、「音楽理論の基礎」と題して、初心者の方が音楽理論をまずどこから・どんな順序で学んでいけばいいのか、という点について詳しく解説していきます。

※別ページにてご紹介している「音楽理論学習の見取り図(何をどの順番で学習していけばいいか)」という内容から、初級音楽理論にあたる部分のみを抜き出しています。

これから音楽理論を覚えていこうという人や、基礎的な部分を特に知りたいという方は、是非参考にしてみて下さい。

※また、理論の中身についても関連ページとしてご紹介していますので、実際に学習を進めていくこともできます

初心者が学ぶべき基礎的な音楽理論とその順番の概要

以下のページにて「音楽理論の何をどの順番で学べばいいか?」という点について、総合的に解説しています。
音楽理論を知りたい人のための「学習の見取り図」※独学に活用できる「音楽理論の何をどの順番で学べばいいか」のまとめ

この中でも特にポイントとなるのが、初級レベルに相当する部分(基礎)の学習をいかにきちんと行うか、という点です。

ここで上記ページにてご紹介している「初級レベルとして学習すべき内容とその順番」を、改めて以下に示します。

初級
  1. メジャースケール
  2. ダイアトニックコード
  3. スリーコード
  4. 代理コード

音楽理論についてほとんど知識がない状態でも、この順番に沿って学習を進めていけば着実に理解を深めていけるはずです。

また、二番目の「ダイアトニックコード」以降はそれ以前の内容を踏まえて学習していくため、特にこの順番を守るということが大切です。

以下より、改めてそれぞれについて特にどのような点に注意しながら学習を進めていくべきかを詳しく解説していきます。

1. メジャースケール

※メジャースケール解説ページ
メジャースケールの内容とその覚え方、割り出し方、なぜ必要なのか?について

作曲で扱う音に関する理解から学習をスタートさせる

音楽理論学習のスタート地点となるのがこの「メジャースケール」についてです。

作曲とは文字通り「音楽を作る作業」ですが、その中で扱う音に関する知識はすべての作業の土台となるものです。

「メジャースケール」はまさにその「扱う音」を指し、この知識がしっかりと備わっていると、作曲を進めるにあたり「どんな音を使えばいいか」ということががわかるようになります。

鍵盤を活用すると理解しやすい

メジャースケールとは、平たくいえば「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の並び方のことです。

よくこれを覚えるのに、よく「全音、全音、半音…」という表記を見かけることがありますが、個人的にこの書き方はわかりづらいと思っています。

それよりもなじみ深い鍵盤の図を頭に思い描いて、また状況に応じてそれを書きだしたりすることでその並び方を把握するほうが理解しやすいはずです。

「並び方である」ということを肝に銘じる

また学習のポイントとなるのは、他のページで何度も述べているとおり「メジャースケールは並び方」と理解することです。

この並び方を理解して、基本となる「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」(Cメジャースケール)からそれを別のメジャースケールに変えてみる練習をすると良い学習になります。

具体的には、「この並び方を『レ』から始めた場合は?」「『ミ』から始めた場合は?」と考え、いろいろなメジャースケールを自分一人の力で考えて書き出していく練習をします。

「メジャースケール」は多少時間をかけてでもしっかりと理解することが大切

上記の練習を通してメジャースケールについての理解をしっかり定着させておけば、このあとのすべての学習で「なぜその音になるのか」ということがわかるようになります。

それにより間違って音を把握してしまったり、内容がよく理解できないという状態が少なくなります。

メジャースケールに関する知識は本当に大切であるため、多少時間がかかってもこの段階でしっかりと理解することを優先してください。

2. ダイアトニックコード

※ダイアトニックコード解説ページ
ダイアトニックコードとスリーコード 概要や成り立ち、コードの役割などについて
ダイアトニックコードの覚え方(割り出し方)

メジャースケールをコードに流用した知識

メジャースケールについての理解がしっかり深まったら、その次に「ダイアトニックコード」について学習をしていきます。

メジャースケールが「作曲で扱う音」に関する知識だとすれば、ダイアトニックコードはそれをコードに流用した最も基本的な概念です。

すなわち、これからコードに関するいろいろな知識を学んだり実際にコード進行を組み立てていく際には、このダイアトニックコードが理解できているかどうかがポイントになるということです。

基本的なコード進行を作る際の土台となる知識

以下はダイアトニックコードの一覧表です。

ダイアトニックコードの学習で大切なのはこの表にある「I, IIm, IIm,…」という「型」を覚えることです。

この点が理解できていると、さまざまなキーのダイアトニックコードが扱えるようになります。

そして、前述の「メジャースケール」が理解できていると、「なぜ『II』には『m(マイナー)』が付くのか?」「なぜこのコードには♭が付くのか?」というようなことを順序だてて把握することができるようになります。

さまざまなコード進行の土台にもなる

通常コード進行は、キーを決めたうえでそこに含まれるダイアトニックコードを扱って組み立てていきます。

そこで「それなら『型』を覚える必要はなく、特定のキーのダイアトニックコードをそのまま覚えればいいのでは?」と考えてしまいそうになります。

初心者の段階ではもちろんそれでも問題ありませんが、その後の発展を考えるとやはりそれでは不十分です。

というのも、ダイアトニックコードのみの構成を発展させてさらに特徴的なコード進行を作る際に、そこに含まれない別のキーのコードを扱うことが求められるからです。

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言い方を変えれば、上記の「型」を流用して「すぐに別のキーのダイアトニックコードが連想できるか?」という点が、コード進行を柔軟に組み立てられるか否かの分かれ目になるのです。

ダイアトニックコードも必ずしっかりと理解する

ダイアトニックコードを丸暗記するのもひとつの方法ですが、メジャースケールをきちんと把握しておけばそのすべてが根底から理解できます。

既に述べた通り、メジャースケールをコードに流用したものがダイアトニックコードであるため、これは当然です。

さまざまなコード進行を作っていくうえで基礎となるこの部分にも十分な時間を割いて、それらが意味するところをしっかりと理解するようにしてください。

3. スリーコード

※スリーコード解説ページ
ダイアトニックコードとスリーコード 概要や成り立ち、コードの役割などについて

コードの特性や扱い方を知る

音楽理論の学習は、ここからダイアトニックコードの中身に移っていきます。

その手始めとして、まず最初に学習するのがこの「スリーコード」です。

ここまでに覚えた「メジャースケール」と「ダイアトニックコード」それぞれは要素であり、ここからはそれらの特性や扱い方を知る局面に入ります。

音を出して響きを体感していく

「スリーコード」とは、ダイアトニックコードの中でも特に重要な三つのコードを指す総称です。

ここではそれらのコードそのものに対する理解と、その機能について学んでいきます。

また、そもそもこれらの知識は実際に作曲でコードを組み立てるために覚えるため、学習の段階でも楽器などを手元に置きながら音を出していくのが望ましいです。

スリーコードの持つ音の響きを耳で聴いて、それらの特性を体感していくことが大切です。

基礎の段階からいろいろなキーに置き換える癖をつける

この「スリーコード」の学習もそうであるように、コードの特性や扱い方などを学ぶ際には基本的にキーを固定します。

これは、「例えば『キー=C』だとすると…」というように、説明を具体的にしてより理解しやすくする意図があります。

反面で、個人的にそれだけでは不十分だと考えており、ひとつのキーによる理解が一通り済んだらなるべくそれらを別のキーにも置き換えてみるべきです。

すなわち、例として

キー=C「C → F → G」

という構成を、

キー=A「A→D→E」

などに置き換えながら把握する、ということです。

それは上記「ダイアトニックコード」の部分で既に述べた通り、柔軟なコード進行の構築には「いろいろなキーのコードの動きをすぐに思い浮かべられるか?」という技術が求められるからです。

コード進行の基礎となるスリーコードを学習する時点からその癖をつけて、ダイアトニックコードを前述の「型」で考え、いろいろなキーに流用できるようにしていくのが理想的です。

代理コード

※スリーコード解説ページ
代理コードについて あるコードに似た響きを持つコード&スリーコードの代わりに活用するマイナーコード

ダイアトニックコードの中にあるスリーコード以外のコード

初級レベルの音楽理論として最後に学習するのがこの「代理コード」に関する知識です。

前述の「スリーコード」がダイアトニックコード内の主要三和音であり、この「代理コード」はダイアトニックコードの中にあるその他のコードのことを指します。

これらの成り立ちやコード進行における位置づけについて、スリーコードで学んだ知識を活用しながら学習していきます。

代理コードによって多彩なコード展開を作り出す

「代理コード」にできることは、文字通り「コードの代理」です。

それは、「本来スリーコードである部分をこれらのコードによって代理できる」ということ意味しています。

すなわち、代理コードの理解が進むほどにそれらを含めた多彩なコードの展開が検討できるようになるということです。

リハーモナイズの基礎になる

代理コードを学習するうえで欠かせないのが、コードの構成音と機能に関する知識、そして各コードに共通性を持たせる感覚です。

ここでもまたメジャースケールの理解が問われ、これは「あるコードを別のコードに置き換えること」(リハーモナイズ)の基礎にもなります。

▼関連ページ
リハーモナイズの解説|概要と考え方、やり方や実例などを詳しく説明します

ヒット曲のコード譜にさまざまなコードが活用されているのを見て、「どうすればこんな複雑な構成が作れるんだろう?」と疑問を持ったことがある方も多いはずです。

「代理コード」はその象徴ともいえるもので、スリーコードを「代理コード」等の柔軟な発想によって発展させたのがその複雑なコードである、といえます。

「自分でコード進行を作り出すこと」を目的とする

スリーコードの学習が「コードの機能や扱い方を学ぶこと」に主軸を置いていたのに対し、代理コードの学習は「自分でコード進行を作り出すこと」をその目的とします

具体的には、代理コードのルールをある程度覚えた時点で、そこからその知識を活用して自分なりにコード進行をいくつか作っていきます。

それを通してコードの流れを作る感覚がわかり、理論が実用的なものとして身についていきます。

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また、これらをいろいろなキーによって実施するというのもポイントで、上記「スリーコード」の部分で述べたのと同じことがその理由となっています。

まとめ

ここまで、音楽理論の基礎について、その内容と学習の順序、注意点などを詳しく解説してきました。

既に述べた通り、この部分で学習する知識はその後の理論を学ぶための土台となるものばかりです。

そのため、時間をかけてでもすべてをきちんと理解するべきで、それにより中級・上級の理論を学ぶ際の学習スピードや理解度も変わってくるでしょう。

結果として、それらが作曲上達のスピードにも影響するはずです。

是非、音楽を紐解く楽しさを感じながら、前向きな時間でじっくりと取り組んでみて下さい。

この部分の学習をしっかりやっておくと、その後の理論の学習が楽になるはずです。

補足

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